真紅の村
中に入れば異様な雰囲気に包まれる。
暗く、闇に覆われたその村はまるでミナトたちを拒絶するかのようにピリピリと痛いくらいの空気が流れていた。
「さ、さすがに怖い…。」
リュウトはそういうと苦笑いを浮べていた。
ミナトは二人の後をついていく感じで後ろを歩く。
そのとき、
ふぅ
後ろから、生暖かい風が通る。
それはまるで誰かがため息をしたようだった。
勇気を出して勢いよく振り返るとそこには誰もいない。
「な、なんなのよ…。ねぇ、二人とももう帰ろ…。」
ミナトがそういって振り返るとさっきまで前にいた二人がいない。
「え?」
ミナトは一瞬なぜ二人がいないのか分からなかった。
しかし、ここは一本道。
どこにも、二人がいなくなる場所はないのだ。
「な、なんで…?」
ミナトはそう呟きながら唖然としていると、地面にリュウトが持っていた懐中電灯が転がっている。
その瞬間、嫌な予感がココロを侵食していった。
「ソウ!リュウト!!」
その道を走りながら、精一杯の声で二人の名前を呼ぶ。
しかし、返事は帰ってこない。
「な、何で?」
そう思うと急に心細くなってきて目に涙がためる。
ふと、顔を上げると、一軒の家に明かりがついていた。
もしかして、誰かいるかもしれない!
そしたら、一緒に二人を探してもらおう。
ミナトはそう思うと、その家に入っていった。