たかが映画、されど映画
それから
1985年監督 : 森田芳光
出演 : 松田優作、藤谷美和子、小林薫、美保純
脚本 : 筒井ともみ
原作 : 夏目漱石
音楽 : 梅林茂
漱石お得意の、友達の妻への横恋慕作品。
親の援助で暮らしている、当時風に云えば高等遊民の主人公が、かって友達に取り持った女性、三千代と再会し、自分の中の彼女への秘めた想いを再び募らせていくという設定。
結局親にばれて勘当され一切の援助を失うのですが、その後の「それから」は漱石後年の『門』へと続きます。
この映像作品は、優作、藤谷はなかなか好演していますが、小林薫の文語体の台詞「....したまえ」が妙に浮いていて、彼にしては役作りが中途半端なようです。
演出は、ほぼ原作の流れに沿っていて、改変もあまり気になりません。
ただ、遊女との場面の踊る仕草や、ラストの電車内のカットは、そんな時代だったのでしょうが、今となっては何か奇異な加味をしてしまったようで不要です。
原作の「仕舞には世の中が真赤になつた。(中略)代助は自分の頭が焼け尽きる迄電車に乗つて行かうと決心した。」をそのまま上手く表した方が、作品としてより普遍的なものになったように思えます。
作品名:たかが映画、されど映画 作家名:しん よしひさ