たかが映画、されど映画
陽のあたる坂道
1958年監督 : 田坂具隆
出演 : 石原裕次郎、北原三枝、芦川いづみ、轟夕起子、小高雄二
脚本 : 池田一朗 , 田坂具隆
原作 : 石坂洋次郎
日活は石坂青春文学が好きで、『青い山脈』は当然のこと、『草を刈る娘』、『雨の中に消えて』、『風と樹と空と』、『光る海」他多数あります。(ほとんど小百合関連)
裕次郎に限っても、『乳母車』、『若い川の流れ』、『あいつと私』、『あじさいの歌』、『若い人』他とこれも多数あります。
裕次郎の演技から云えばこの時期は他にもっと良いものがありますが、作品として一番印象深いのはこの「陽のあたる坂道」です。
通常日活作品は長くて90分程度ですが、この作品はなんと209分、終始丁寧に演出を重ね、フィルムの無駄使いにはなっていません。
相方の北原三枝は凛とした風情がとても良く、周りを固めるキャストも的確です。
出来の良い長男と、一見風来坊の次男という設定は、洋画なら『エデンの東』『リバー・ランズ・スルー・イット』、同じ日活作品なら『錆びた鎖』が思い浮かびますが、実社会にもよくある現象で、身の回りにも多々散見します。
その風来坊が悩み成長するさまを描いた作品で、脚本も良く石坂作品の味が的確に映像化されています。
日活はこの作品を渡哲也主演で後年再び撮っています。
この時の相方は十朱幸代でした。
相方は今ひとつでしたが、脇はこの裕次郎版に劣らず的確でした。
特に民夫役の山本圭が絶品なのです。
是非DVD化して欲しい作品です。
作品名:たかが映画、されど映画 作家名:しん よしひさ