たかが映画、されど映画
曲がれ!スプーン
2009年監督 : 本広克行
出演 : 長澤まさみ、三宅弘城、諏訪雅、寺島進
脚本 : 上田誠
原作 : 上田誠
音楽 : 菅野祐悟
幼い頃見えたはずのフシギが、世間からいつか大人と云われ、なりたくもない一般常識の仲間にされはじめると、見えなくなってしまいます。
長澤の役は、フシギ少女が何も失くさず大人になった魅力的な女性AD。
番組に寄せられた超能力現象の検証のため、自らカメラを持ち訪ね歩きます。
ま、行くところ行くところガセネタばかりなのですが、そこに居るのは、みんな愛すべき夢見る大人たちなのです。
「こーだったらいいなー」「こーなりたいなー」といい歳をして、そんなキャラを寺島進らが楽しく演じています。
マスターや本物のエスパー役の5人も適役ばかりで、不幸にも紛れ込んだ普通人も含め、なかなか良い味を出しています。
でもとにかく長澤が良い。(少女時代役の子役もかわいい)
ユメの無い街中をユメを追って走る長澤には、今の彼女だけが持つオーラがこぼれています。
期間限定のそんな彼女のファンタジーを、このように映像に刻んだ本広監督の鑑識眼に、大いに感謝すべきなのでしょう。
挿入歌のYUKIや菅野祐悟の音楽も良い。
ラストに出現する銭湯のペンキ絵のようなUFOのカットを、もう1,2秒長く、大きく写してほしかったですねー。
大人になってもう飽きる程永いけれど、己のユメは誰にも知られず深く深く仕舞い込んであります。仕舞い忘れてしまいそうなほど...
そんな自分のユメの在り処を持っている人に観てほしい、これはとても良い作品です。
作品名:たかが映画、されど映画 作家名:しん よしひさ