たかが映画、されど映画
フィッシュストーリー
2009年監督 : 中村義洋
出演 : 伊藤淳史、高良健吾、多部未華子、大森南朋
脚本 : 林民夫
原作 : 伊坂幸太郎
音楽 : 斉藤和義
『デトロイト・メタル・シティ』『少年メリケンサック』『アイデン&ティティ』と、ビートルズ以後の行き場を喪失した70年後半から80年へかけてのロック・パンドを描いた作品は、監督はそれぞれ違うのに、いまのところ全てアタリです。
それもホームラン級のアタリばかりです。
幸せなポップミュージックを終わらせたのはビートルズ、脳味噌でロックするのを教えたのもビートルズ、あげくロックを行き詰まりにさせたのもビートルズ。
アップル・ビルの屋上で「Get Back」と云われても、何処にも帰れと云うのかい?とボヤキたくもなるし、アコPianoで「レット・イット・ビー」とくれば、もう皆ケセラ・セラ状態で、後は、パンクに行くか、メタルに走るか、ミックとボウイのように腰でも振ってみせるか、演歌でもうなる他に手はなさそう。
そんな何も無い状態は、逆にロック野郎には何でもアリ状態と同じらしく、上記のどの作品にも怪しげなマグマ・パワーがトグロを巻いています。
この「FISH STORY(たわごと)」も大傑作です。
「風か吹いたら桶屋が儲かる」の展開は抵抗もあるけれど、そのコトの起こりが一枚のレコードなら意味もなく許せてしまいます。
音楽が世界を救うというストーリー展開もこの際マル。
伊藤淳史はすっかりベースの顔だし、高良のシャウト・スタイルはクラッシュのようにキマッテいます。
森山未來も多部未華子も濱田岳もうまく生かされ、時間軸の動かし方も手際よく、とても爽やかな作品です。
作品名:たかが映画、されど映画 作家名:しん よしひさ