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天使の羽

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 年が明ければ、彼女は二十歳を迎える。そしたら、春には結婚式だ。独身最後の二人で過ごすクリスマス。
「婚約指輪は、誕生日にな!」
 と言いつつ、プレゼントは内緒で用意したエンゲージリング。彼女の驚く顔が見たかったのだ。
 あの時、渡せなくて……。
 隣を見ると、車椅子に“彼女”の姿。
「……ミツキ……」
 少年が“彼女”の手を取ると、少年の光がそのまま彼女をも包み込んだ。
「……ミサリくん?」
 遠くを見ていた彼女の焦点が少年に合わされる。包み込む光が、二人の時間を“あの日”へ戻す。
「遅くなっちゃったけど……。メリークリスマス」
 そう言って、少女の左手に指輪をはめる少年。
「ボクからのプレゼント……」
「これって……」
「エンゲージリング……のつもりなんだけど……」
 “安物でごめんね”と少年が笑う。
「……嬉しい……」
 ガーネットの粒が花を形どる金色のリングを左手ごと右手で包み、少女が微笑み返した。
「あたしもね、プレゼントがあるの……」
「え? 何?」
 驚く少年に微笑みながら、少女が自分の腹部に両手を当てる。
「ここに、ね。赤ちゃんがいるの」
「え!?」
「ミサリくんとあたしの赤ちゃん……」
「ボクが、パパ?」
 少女が頷き、少年が少女を抱きしめた。
「スゴイや、ミツキ! ボクら、“家族”だ!!」
 そっと身体を離し、少女のお腹に少年が手を当てる。
「男の子かな? 女の子かな? 名前、どうしようか?」
 子供のようにはしゃぐ少年を見て、少女がクスリと笑った。
「男の子よ。名前はね……タカヤス」
 二人の手に包み込まれるように、腹部から光の玉が浮き出る。
 ……呆気にとられたまま見詰めていたタカヤスが驚く……。
「貴方が“星(ミサリ)”であたしが“満月(ミツキ)”だから、この子は“太陽(タカヤス)” ……。ステキでしょ?」
「うん。ステキだ……」
「きっと、貴方にそっくりに育つわ……」
「……そうだね……」
 少年と少女が光の玉からそっと手を離す。すると、フワリと浮いた玉が、スッとタカヤスの中へと吸い込まれていった。
 ……タカヤスが自分の身体を慌ててまさぐる……。
「……時間だ……」
 空を見上げる少年。
「行っちゃうの?」
 手を伸ばしてくる少女に、
作品名:天使の羽 作家名:竹本 緒