2+1=1
04
数日後、佐々木が進めたロザリオが気になり泉美はまた店に足を運んだ。
「あっ、堀川さん!」
甘えた声であいさつをしてきた佐々木。泉美はいつも通り左の手元を隠した。
「----佐川さんは?」
店内を見渡すが佐川の姿が見えない。
「佐川さんなら出張で帰りは明日ですよ?」
----失敗した。先日来た時急いで帰ったため、佐川の予定を聞くのをすっかり忘れていた...。
「今日はどうしたんですか?」
「あ...この間のロザリオだけもらおうかと思って...」
泉美の気持ちも知らず嬉しそうにケースからロザリオを出し、きれいにラッピングを施していく佐々木。
その指にはあのリング...泉美と同じリングがはめられている。
----今のうちにお金を出して...。おつりは右手で受け取れば大丈夫。問題ない...。
すべては泉美の思った通りになった。
お釣りを右手で受け取りポケットへ突っ込む。
あとは佐々木からロザリオを受け取り帰るだけ...。