完結してない過去の連載
亀
佑介と亀をとりにいった。
正確には『盗り』に。
公園の池で適当に游いでる亀だ。
多分とられて困る人は誰もいない。
亀釣り。
つまらん。
正直なところ時間、そしてスルメの無駄だ。
でも友達付き合いって、こんなもんだし。
「七希も持ってけよ」
佑介に亀を渡された。
(え いらないんだけど)
「なにを」
分かりきってることをボケたふりして聞いてみた。
「だからー亀。ほれ。案外可愛いんだぜー?水槽洗っとけば臭くねぇぞ」
いや、だからいらないって。
「あー…。母さんに聞かねぇと。」
適当に流しておこう。
「あっやべ警官じゃね?あれ!!」
佑介が俺の手をひっぱって走った。
正直なところ何がやばいのかわからない。
どうせずっと前に誰かに捨てられた、公園が第二の故郷の亀なのだ。
それに、万が一怒られそうになっても
「理科の宿題で観察を」
とか言えばいい。
…でもここも友達付き合いでわざとらしくテンションを上げて逃げてやった。
…多分佑介も本当はそんなにやばいとは思ってないだろうけど。
「おっかけてこねーよな?」
「もー今日はここらでお開きにしようぜー」
「おー、また明日な」
…
あ。
亀連れてきちゃった。
作品名:完結してない過去の連載 作家名:川口暁