完結してない過去の連載
金魚の秘密
神様
神様
神様．．．．
女の子は
綺麗じゃなきゃだめなんですか？
．．いや
神様なんか関係ない
私のまわりにいる奴らに
その答えを聞くべきなのだ
たとえば
河本さんみたいな人に
「じゃぁ、お先に失礼しまーす」
彼女は
私とおんなじ薬局のアルバイト
でもおんなじじゃない
あの子の半径１メートル以内に近づくと
男どもは天国の薬局にいるみたいな顔になる
（はぁ．．．）
ん？
こんな時間の薬局の化粧品コーナーに男が一人。
怪しすぎる．．．
（って、あれ？！あの人．．．試しぬりの紙にいたずら書きしてる？！）
（注意した方がいいかな．．．？でも恐い人かも．．．）
あ．．．
うじうじしてたら行っちゃった．．．
（なに書いたんだ？）
「．．．っ」
私だった。
ローズピンクの口紅で
私の顔は小さなその紙の中に
すっぽりとおさまっていた
そして
唇だけが真っ赤に燃えてるみたいに
塗られていた
それは
私じゃないみたいに
すごく
すごく．．．
綺麗だった
．．次の日、私はあの真っ赤な口紅を買った。
それをつけた私は
あの絵ほどは綺麗じゃ無かったけど
昨日よりも綺麗になれた気がした
そして私は．．．
あの人が再び現れるのを
静かに待ったのだった
作品名：完結してない過去の連載 作家名：川口暁