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詩集 『天―AME―』

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『雪』



残されてゆく名残の軌跡
遠くに響く幼い日々の笑い声

鉄格子の隙間から覗いた空から舞い踊る奇跡
白い光を纏うその姿に縋った
穏やかさなどありもしない生臭い地上で
その白さが神を見せた
どうか争いをやめてと
どうか願ってと
笑顔が戻る日々を祷り
その時が来ることを信じて
今を生きるの

落とされた翼の名残を惜しまれつつ
空へ還るの

歌声を訊かせて
奏で空に届けるから
この牢獄から手を伸ばし祈る
言葉を無くした喉の奥で
優しさと絶望を抱いて

縋ったモノは幼い自分の手
命を輝かせて
祈るのは心の平穏

この国を知るのは
全てを奪われた牢獄の住人
孤独の支配者
涙を流すのは何もできない神

今を生きるの
そこに途があるから


作品名:詩集 『天―AME―』 作家名:柳 遊雨