小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

日出づる国

INDEX|3ページ/12ページ|

次のページ前のページ
 

 ネオたちは、マンモスの群れを見つけていた。
 大きな穴を掘って、そこへ追い落とすしか仕留める方法はない。1頭しか仕留められないが、一族が半年暮らせるだけの食料が得られる。

 マンモスを落とせる大きな穴を掘った。
 凍った地面に魚油をかけて火をつけ、柔らかくなった所を、太い木を縦に割って先を平たくした道具で掘っていくのである。9人の男で1日がかりの仕事である。マンモスの群れが移動してしまって水の泡となることもあったが、今回はうまくいきそうだ。

 夜になった。
 灯した木の炎を隠すようにして持ち、穴の周囲に2人が立ち、7人はふた手に分かれて、狙いをつけたマンモスを後ろから追い立てられるように扇型の陣容をとれる位置に立った。
 左手で火を高々と掲げ、右手には石ナイフを取り付けた木を握りしめて一斉に声を上げた。

 突然の音と火におびえ群れは逃げ惑う。そんなマンモスにぶつかれば命はない。
 自分に危害はないと分かったマンモスは再び大地に足を折り曲げた。

 狙いのマンモスは火におびえ声に追い立てられて、大きな牙を天に向け地に向けして逃げ惑う。太い鼻を振り回し薙ぎ払ってくることもあった。
 十分な距離をとりつつ火を有効に動かして追う。
 まんまと穴の所に導かれて、ドサーッという音と共に穴にはまりこんだ。そこへすかさず槍を突き立てた。何回も何回も突き立てた。鼻をしだき牙をむけ、体をひねりしながら抵抗するのだが、身動きできない穴の中で疲れ果て、100回近くも突き刺された末に息絶えた。
 肺の中の空気が抜けていく時に発するパオ――ン、という高らかな叫びを残して。

 豊富な言語表現を持たない彼らは肩で息をつきながらも全身で喜びを表現し、しばらくは踊り狂った。明るくなれば解体して、いよいよ家族の待つキャンプ地へ戻れる。
作品名:日出づる国 作家名:健忘真実