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妖怪の杜

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シンドローム(4)




その夜、二人と一匹はぐっすりと寝入って居た…照明も点けっぱなしで。
相変わらず、ボクサーパンツに両手を突っ込み寝ている東狐…京吾そっくり。
孟知まで同じ格好だし、フフッ。
って…おいっ、そんなんでいいのか東狐。
まあ、達也君はあんたが泊まった事で安心して寝入るのは解るよ。
でも、あんたは違うくない。
ねえ…孟知まで…やっぱがきだな。

深夜2時を過ぎた頃私もうとうとしかけた時だった。
部屋の様子が一変した…真夏だというのに、寝ている東狐達の息が白くなる。
まるで冷凍庫のように。やばくない。起きろみんな!


最初に起きたのは孟知、毛を逆立て「ウー」と臨戦体制。
しかし、他2名は未だ気付かず…
すかさず、孟知が東狐に猫パンチ!
やっと目を覚ます東狐。
何だよとばかりに周囲を見回す…
すると、天井に墨をぶちまけたような黒い物体がうねって居る。
様子を伺う東狐達に対し達也君は金縛りにでもなったかのように苦しい表情で動く気配がない。
墨色の物体はゆっくりと動きだし達也君の頭上へと移動した。
そして、雫が滴るように物体中央から墨色の氷柱が形勢され達也君へとそれは伸びていく。
尖端が3本の鋭い爪に変形した時…

パチパチ

と音を立てリン発火のような青白い炎が3本爪の尖端で弾ける。

ジュッ

墨色の物体はビクッと尖端を引き戻す。
尖端からは白い煙。
煙が治まると、そこから動物的な眼球がギュルっと飛び出し東狐へ向けられた。

突起した眼球に映し出されていたのは…寝癖だらけの東狐、金髪の髪が静電気を帯びたかのように、パチパチと乾いた音を響かせゆらゆら揺れ、ジェード色の瞳が墨色の物体を凝視している。
「達也に手を出すな…シメルぞっ」
我が子ながら怖いぞっ…物体は眼球を反らす事なく
「オバエ、ダナニモノ…ジャマズルナ…ゴ、ゴロスゾ」拙い言葉を発した。
「お前こそなんで達也に酷い事するんだ…これ以上やるんなら、滅っする」
おっ、東狐カッコイイ~アニメの主人公みたい。
「ダマレ…コヤツハ、ワシノセイイキを汚した…ダカラ、コロす」

作品名:妖怪の杜 作家名:槐妖