妖怪の杜
シンドローム(2)
「達也こんなに酷かったなんて…」
「うん、今週になってから酷くなったんだ…父さんや病院の先生は僕自身が傷つけたと思ってるけど、絶対僕じゃない。信じてくれるよね、東狐」
悲しい眼差しで見つめる達也君。
話を聞いた限りでは、自傷行為にもとれるのだけれど…
「もう少し詳しく教えてくれる」
「…先週の火曜日にね僕のキッズ携帯に変なメールがくるようになって…これ」
達也君は部屋の勉強机の引き出しから携帯を取ると画面操作し東狐に手渡した。
画面を見ると、奇妙なメール…
Data:00000
from:00000
Sub :522332157114
そして、内容は…やはり、数字の羅列。制限文字数いっぱいに。
724324412151913304559512259533
724324412151913304559512259533
724324412151913304559512259533…
考え込む東狐。
「その変なメールが何通も届くんだ。拒否しても何通も何通も…その夜から変な夢を見るようになって、朝起きると体中に引っ掻き傷があって。それが段々酷くなってるんだ。僕怖くて…助けて東狐。このままじゃ本当に病院に容れられちゃう」
包帯のされた両手で顔を覆いうなだれる達也君。
「夢…その夢ってどんなの」
「えっ、えっと、黒い変な生き物に襲われる夢。そいつ、何かうようよ動いて…変なとこから三本爪みたいなの出して僕の体に…」
「黒い変な生き物…三本爪…でも夢なんだよね」
「うん、それを父さんに言ったら病院に連れてかれて…トラとかウマとか変な事言われた」
「虎、馬…何それ。う~ん、僕今日泊まるよ。そしたら、何か解るかも」
「本当、嬉しい」
「じゃあ、ちょっと携帯借りるね」
「うん」
達也君のキッズ携帯を片手に部屋を出る東狐。