妖怪の杜
シンドローム(6)
次の日、帰宅した東狐と孟知に早めの昼食を用意し昨晩の事を聞いてみる。
「ねぇ東狐、昨日のアレっていったいなんだったの」
ご飯を口いっぱいに頬張る東狐…人の話し聞いてんのか我が息子。
「いばのほこふぁかんふぁい」
…
「意味不明だし、口にものを入れたまま喋んないでくれる」
まったくこの子は…
「んぐっ。なら食べてる最中に質問しないでくれる」
ごもっとも…って、いっぺん泣かせたろか!
「それは失礼いたしました。でも、気になるんだって…怨霊、悪霊、悪魔とかだったら。達也君はどうなるのよ」
本当に霊だったら…
相変わらず、口いっぱいご飯を頬張る東狐…人の話しを聞いてる。
「それなら大丈夫。霊とかじゃないみたいよ」
ひととおり食べ終えた東狐がシィハァしながら応える。
お前はおっさんか。
「霊じゃなきゃ何よ」
「う~ん、たぶん妖怪…しかも近い、そんな感じがした」
妖怪…
東狐は食べ終えた食器類をシンクに持って行き軽く水を流す。
そうしてダイニングテーブルへ戻ると、ドッかと座る。態度デカっ。
私は考える。妖怪とすればあの携帯の数字の意味は何だろう…
もし、あの数字の羅列が妖怪のメッセージだとしたらこの事件は解決する♪
えへへ。
「ねぇ東狐。達也君の携帯に届いたメールさあ…」
「ああ、アレ。メモしてきたよ」
さすが我が息子。気が利くぞ。
「えっ、見せて見せて…気が利くねぇ東狐ちゃん」
よいしょしとかんと後が怖いからな。それにしても汚い字だな。
メモ用紙もクチャクチャだし、よく見ればスーパーのチラシの裏面使ってるし。
でも、これを見れば見るほど何か懐かしさを覚えるのは何故。