妖怪の杜
シンドローム(7)
そんな事を考えていると、突然東狐が口を開いた。
「それ見て何か解る」
「そうねぇ…ん、う~ん。あれ、あれれ、もしかして…えへへ、あははっ懐かしいはずだよ、東狐。私の青春じゃないのさコレって」
「はっ、何それ」
フッフッフ、若造には解るまい。
携帯、ピッチ、ポケベルの時代を生きた私だからこそ理解できるのよ。
中学生の頃にハマったポケベル入力文字じゃないのさ、ウフッ。
「東狐、ポケベルって知ってる」
「知らない」
即答かよ、まあ仕方ないか。
「ポケベルは今の携帯みたいに同じ機種どうしでメッセージを送受信出来る端末機の事よ」
「そっ、で何か解ったの」
それだけ…まあ、いっか。
って事は、この数字を文字にすると、Subが…(に く し お ま え)えっ。
何これ。
ほ、本文が(みつけた かならず のろいころす)
私の表情を読み取ったのか、先程までゆるんでいた東狐の顔が引き締まる。
「ねえ、母ちゃん。何か解ったんなら教えて…」
東狐の表情は真剣そのものだった。
私は何も言わず、メモ用紙に次のように書き加えた。
522332157114
にくしおまえ
724324412151913304559512259533
みつけた かならず のろいころす
と。それを見た東狐は、メモを手にすると下唇を噛み、チッと言い放つと家を飛び出した。
勿論孟知も一緒に…
一番大切な友達の為に。