小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

パンドラの鍵

INDEX|58ページ/119ページ|

次のページ前のページ
 

「カッターか」

友也はそう呟き、無造作に引き出しを開け中を覗き込んだ。

「息が、息ができ……」

振り向くと、信じられないような光景が友也の視界に飛び込んでき
た。

髪の毛の様相をしていた物体は、もはやとてつもない大きさに膨ら
み、それ自体が一つの生命体を形作っているように生々しかった。

貴之の体は、その得体の知れないグロテスクな生き物に埋め尽くさ
れ………。

「工藤!」

焦れば焦るほど、カッターは見つからない。

友也の手の平は、ぐっしょりと汗ばんでいた。

「どこだ、どこにある?」

「二、二番目の…」

「二番目の引き出しか」

貴之が最後の力を振り絞って頭を振る。

友也はやっとのことで、引き出しの奥底で眠っていたカッターを発
見すると、急いで握りしめ、がむしゃらに刃を髪にあてがった。

しかし、予想以上にそれは堅くなかなか切れなかった。

「なんだよ、なんだよこれっ」

「お願いだ、どうにかしてくれ……」

「あぁ、分かってる。大丈夫だ、大丈夫だから」
作品名:パンドラの鍵 作家名:まゆ