パンドラの鍵
彼の底抜けに明るいところと世話好きな性格が、男女問わず彼の周
囲を賑やかにしていた。
俺とはまるで正反対だ。
大学で偶然再開してから付き合いが戻った二人は、時たま外で飲む
仲になっていた。
「でも、おまえから声かけてくれるなんて珍しいじゃん」
「そうか?」
「あぁ、俺はうれしいよ」
そう言うと、友也は大げさに涙ぐんで見せた。
「大げさなやつだな」
「だって俺、おまえに嫌わてんのかと内心ビクビクしてたからよ」
「おまえがか? 冗談!」
「ばれたか……」
「当たり前だ」
二人の横を甲高い笑い声をたてながら、女子大生が通り過ぎていっ
た。
「ところで、話ってなんだ? さっき声かけてきた時のおまえ、幽
霊みたいだったぞ」
幽霊か、その通りだ。貴之は心の中で笑った。
二人は空いているソファーを見つけると、そこに腰掛けた。