小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

パンドラの鍵

INDEX|24ページ/119ページ|

次のページ前のページ
 

「ちげーよ。あいつらが心配していたのは自分達のことさ。周りの
やつらから白い目で見られるのが嫌だった。それだけに決まってる
だろ」

「ちがうよ、そうじゃないよ。だって……」

「だってって、なんだよ? 聞いたのかよ。あいつらが俺のこと心
配してる言葉吐いてるとこ、おまえ直接聞いたっていうのか?」

「……お兄ちゃん、怖いよ。どうして? 前はもっと優しかったの
に」

雅美の大きな瞳から、みるみるうちに涙が溢れてくる。

そんな妹の姿を見ているうちに、少々大人気ない気分になり、

「ごめん、別に雅美のことが嫌いなわけじゃないんだ。ただ、おま
えはまだ小さくて、この家のことがあんまり分っていなくて」

「家のことって?」

「つまり、世間体を非常に気にしてる所とか、まぁいろいろとな」

「………」

「おまえは、―――小さい頃の俺にそっくりなんだよ。母さん達に
誉めてもらうために一生懸命で、一生懸命で………」

そう言いながら、貴之はいつのまにか泣いていた。

幼い頃のぼんやりとした記憶が、走馬灯のように流れ出した。

お母さん、見て見て!ぼく、また一番だったんだよ。先生もすごい
ねってほめてくれたの! ぼく、しょうらいはお父さんみたいにな
りたいんだ!
作品名:パンドラの鍵 作家名:まゆ