小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

パンドラの鍵

INDEX|23ページ/119ページ|

次のページ前のページ
 

「お兄ちゃん、なにしたの? お母さんたちになにしたの?」

矢継ぎ早に飛んでくる非難の言葉は、貴之を悩ませ苦しませた。

「別に、俺は何も……」

「じゃあ、これは? お兄ちゃんの部屋にあったこの紙はなに?」

「紙って?」

雅美は階段を駆け下りてくると、貴之に例の契約書を突きつけた。

「雅美赤ちゃんじゃないから、内容ぐらいわかるんだから」

貴之の前で、契約書がゆらゆらと揺れている。

「お兄ちゃん、お母さんたちを売ったの?」

「売ったって……。そんな、俺だって本当に起こるなんて思ってい
なくて、ただそうなればいいって……」

「そうなればいいって、そう思ったの? ひどい、ひどいよ――」

非難する雅美の声はどんどん大きくなる。

貴之は耳を塞ぎたい気持ちでいっぱいだった。

「酷い……、俺がか? 冗談だろっ。あいつらがしてきた事を考え
れば、これぐらいのことされて当然に決まってる」

「ちがう。わかってないのはお兄ちゃんだよ。お母さんもお父さん
も、お兄ちゃんが薬に手を出したって知ったとき、すっごく心配し
てたんだよ。自分達が悪かったんじゃないかって」
作品名:パンドラの鍵 作家名:まゆ