もふ恋。
自室のベッドで、ごろごろとぬいぐるみを抱えて転がる。
「うわー、ぬいぐるみもらっちゃった……!」
それ以前に、初めてちゃんと話をした気がする。ずっと見ているだけで、話すなんて考えたこともなかった。
「って、話すっていうかわたしひとことも……お礼すら言ってなくない!?」
ぎゃああ、と、その事実に気づいた瞬間に、また違う理由でベッドを転がった。勢いよく転がりすぎたせいで見事にベッドから落下する。
イタタ、と打った腰を撫でさするが、ぬいぐるみを潰していないことにはほっとした。思わず落ちたときに手を上げて死守した甲斐はある。その分受身も取れず自分の被害は増したがそれどころではないだろう。
「…………お礼、言わなきゃだよね」
わたしは絨毯の上で膝を抱えて、彼のくれたお茶猫に話しかける。こくこくと頷くようにぬいぐるみを動かす。
「ま、まずは話しかけないと……!」
どきどきと心臓がすでに早まっている気がする。とんとんとぬいぐるみがわたしの膝を叩いた。
「え、告白? 無理無理無理!! 絶対無理ー!!!」
ばしばしばし。
ひとしきり一人芝居で暴れたら疲れた。はあああああっと深くため息をつくと、ぐったりと膝に頭をあずける。
「今までずっと話しかけることも出来なかったんだもんー……。話しかけるのも恥ずかしいよー……」
しかもその前にはばっちり失態も見られたはずだ。
「言えるわけないよぅ……」
そもそもどうすれば彼に好感を持ってもらえるのかもわからない。彼の好きそうなもの、と言っても、わたしが知っている情報自体多くはないのだから。
「うーん…………。あ、そうだ!」
降ってきた名案に、わたしはぱんと手を叩いた。