朧木君の非日常生活(5)
「んじゃ、逃げるよ。朧木くん。せーの、で行くよ! せーの!」
蜻蛉さんが、納屋の中から叫び走り出した。
「え? てか、はえーよ!」
こっちは鬼火ちゃんを背負っているんだから気を使ってくれてもいいじゃないか。
「主ら騙しおったな!」
天狗が激怒した。
「かくれんぼは終わりだよ、天狗さん」
蜻蛉さんが嘲笑した。
「だってほら、神隠しはもう終わるんだから」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?
「ははは、まだ分からないのかい? 始まりにしてクライマックスの意味が分かっていなかったのかい? 認識の問題だよ。結局は認識するかしないか」
何を認識するんだ。
「一つ言っておくけど、納屋とかの建屋も神域との端境だよ・・・・・・で、僕らはそこから飛び出した」
そうか。そういうことか。
作品名:朧木君の非日常生活(5) 作家名:たし