朧木君の非日常生活(5)
全ては意識の問題。
認識の問題。
天狗が『納屋』と言った時には、蜻蛉さんは全てを悟っていたのか。
だから、あんなにも俺を止めていたのか。
だから、静かな笑みを浮かべていたのか。
だから、天狗を前にしても動じなかったのか。
だって、天狗は真実を語る生き物だから。
「神隠しは終わりだ」
そう、終わり。
神に隠され、神を騙し、神から逃げた。
それだけの単純な話。
「所詮は都市伝説だよ、朧木くん」
蜻蛉さんは、そう話を締めくくった。
「感嘆だよ、蜻蛉さん」
俺は、そう話を締めくくった。
作品名:朧木君の非日常生活(5) 作家名:たし