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朧木君の非日常生活(5)

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 「先から何をコソコソ話しておる」
 気付くと天狗が、立ち止まりこっちを見ていた。
 「鬼の退治方についてですよ。妖の類はただ退治するだけじゃダメですからね。ちゃんとした手順を踏まなくてはならない」
 よくもまぁ次から次へと出て来るもんだな。
 「承知した」
 ていうか、こいつ馬鹿ですか?
 先から信じすぎじゃないかい?
 「ここまで信じられると、気付かれた時が怖いね」
 「確かに。でも多分俺より馬鹿だよ?」
 だってねぇ・・・・・・少しは疑うことを勉強しようよ。ま、楽だからいいけど。
 「それはそうと、朧木くん。ちゃんと辺りを見渡して脱出の鍵を探すんだよ。僕たちは、執行人を騙している死刑囚みたいなものなんだからね」
そうなんだ。
そう鍵があるはずなんだ。
 この神域から抜け出す鍵が。
けど辺りを見渡しても草木が生い茂っているだけ。
本当に抜け出せるのだろうか。
何もない。何もありゃしない。
だってこれは神隠し。
犯してはならない神域。脱出の経路なんて用意してないんだ。
しばらく歩くと何か小屋のようなものが見えてきた。
「あそこに鬼の子を捕らえておる。尋問しようとした所で主らが来たからな」
――尋問。
その言葉を聞いて嫌な予感がした。
その予感に俺は手が小刻みに震えだした。
――殺す。
そんな感情も芽生えた。

天狗が古ぼけた納屋の引き戸をあけた。

そこには、鬼火ちゃんがいた。
手足を縛られ、猿轡で口を封じられ、ぐったりと横たわっていた。
作品名:朧木君の非日常生活(5) 作家名:たし