= clock lock works =
時計
彼を失ってから、数日が過ぎた。
彼が居なくなって、声さえも聞いていない。
大家さんによると、彼は死んでしまったらしい。
最期の言葉があんな言葉だったなんて。
私は歯を食いしばった。
彼が居なくなると同時に止まった壁がけ時計。
まるで、彼のようだ。
考えてみれば、彼は部屋から見える景色の話をしていた。
彼は私が寝ている間の話をしてくれたのだ。
時計は年中無休で動いている。
そう考えると、もう動かなくなった時計が何だか愛おしく思える。
会いたい。その気持ちだけが積もっていた。
作品名:= clock lock works = 作家名:十六夜