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鏡裏@のべりすと
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小人さんと13番

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ある大きさの日1



「おい、はらへったー」
少年が眠りを徐々に終え、休みの日を迎えようとしているとき、ふと頭上で聞きなれない声がする。
「ん・・・」
少年は目を開き明るい視界を手のひらで遮り瞳を慣らしてから手をどかす。
すると、ベッドの脇には濃い黄色の髪の毛の男の子が立っていた。
「・・・・・・だれ?」
ぼそっと掠れ声で少年は男の子に問うと男の子はいかにも「は?」とでも言いたそうな顔で少年を覗く。
「俺様が分からねぇのか?」
少年はベッドから起き上がり、立っている男の子の姿を頭のてっぺんからつま先まで目を遣る。

『髪の色』 『半そでワイシャツに紐リボン』 『一人称が俺様』

彼の知る人物で二点が該当するのは一人しかいなかった。
「お前・・・ちっこいのか?」
「なんでそんなこと聞くんだ? 俺様何かヘンなのか?」
「いや・・・・・・おっきくなったな」
「はぁ? も、もしかして・・・13番、お前頭でも打ったのか」
すこし心配そうに少年の覗きこむ男の子もとい元小人。
「いや、別にぶつけてないけど・・・」
「ね、寝てる間にぶつけたとかじゃないよな!?」
小学校低学年サイズに成長した小人は少年の頭に背伸びをしてぺしぺしと触れる。
「いたっ、ちょ、ちっこいの痛いからやめて」
「やっぱりぶつけたのか・・・?」
少年は心配そうな顔で覗いてくる小人に『ぺしぺし』が『べちべち』程度の威力を持っていたとは言えなかった。
「大丈夫だから。ぶつけてないし、現状の把握ができてないだけ」
ぽんぽん、と小人の頭を撫でて立ち上がる。
「ちっこいの・・・胸ポケットに入らないな」
たとえ自分の身長が192合ったとして、記憶の中の小人は10センチというまさに『小人サイズ』だったから胸ポケットに入れていた。
しかし、今の元・小人は少なく見積もっても100はある。
普通の男の子サイズ、明らかに、考えるまでも無く以前のようには移動できない。

「あぁ、確かに・・・昨日と今日とで俺様のサイズ違うからな」

「え?」
何か聞き捨てなら無い言葉を少年は聞いた。
「どうしたんだ?」
「サイズ・・・え?」
「俺様は月に一回くらいこのサイズに戻るぞ。うん」
「え、え?」
「月に一回二時間程度だ!」
「夢落ちとかじゃないのか?」
「現実だぞこのやろー」
「・・・へぇ。わかった、うん。それにしても唐突だな」
「俺様も日が出てるうちには初めてこのサイズはなんだぞ!」
なんだかそういうのって他に無かったか? と、少年は思ったが新たに浮かんだ疑問に上書きされた。
「日の出てるうちって・・・」

寝てる場所窓際の開いたスペースに敷かれた小さな布団じゃないか?
んー、と少年は悩んだがとりあえず保留することにした。
「ところで13番、はらへったー」
「俺も、とりあえず何か持ってくるよ」
「おー!」

とりあえずでかくなった小人サイズの服を用意する必要が無くて安心した少年だった。