CJ1of4 クラウディ・ジャック
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ブロッサム村。春になれば様々な花が咲き乱れ、その色合いは王室お抱えの芸術家をもって「この景色をうまく自己の作品に、全く違和感なく取り入れられる絵描きがいれば、私はその男に仕え続けよう」といわしめたほどの景色。
「きれいだな…こんなきれいな花畑見たことないや」
男はそうつぶやいた。
「あ、さっきのおじさん」
「…ん?ああ、君たちかい」
「どうしてこんなところにいるの?」
「いや、僕も物を売るお仕事しているからさ、いろいろなところに回って売れないか見ているのさ」
「ふーん」
「あと、おじさんじゃなくて、お兄さん、ってよんでくれないか」
「じゃあ、おにいさん、おなまえはなんていうの」
「僕の名前?僕はジャック。みんなにはクラウディ・ジャックって呼ばれている」
「やっぱりクラウディ・ジャックなんだ!有名人に会っちゃったねリゲル」
「まったくだねフィン。ところでジャックのおにいさん、そのくもってどうやってのるの?」
「雲…まあ、みかけはまったくあの空に浮かんでいる雲、だし、うーん、でも微妙に種類が違うんだよな」
「しゅるい?」
「雲は雲なんだけど、空に浮かんでいる奴とは違うんだ。もともと僕は飛行機に乗ってたんだけど、乗り逃げされたりなんだり、ってあってさ、それでこの雲に切り替えたのが意志霧谷(いしきりたに)だったかな…これは最初に乗った人しか乗れないんだよ。それ以外の人は、すぽって」
「すりぬけちゃうんだ」
「そう。すり抜けちゃうんだよ」
「でもそらのくもとはちがうって?」
「空の雲は、本当だったら目に見えないはずの小さな粒がいっぱい集まって、塵やガスやお水なんかを含んで浮いているからああなるんだよ。だからあれには乗れないんだ」
「ざんねんだなあ、フィン」
「ざんねんだねえ、リゲル」
「…君たちも旅すれば見つけられるさ。まあ、危険なところにあるし、大人になってからだよ」
「そうか…」
「そうだ、君たちにいいものあげようか」
そういってジャックはなにやらポケットから取り出した。
作品名:CJ1of4 クラウディ・ジャック 作家名:フレンドボーイ42