町内会附浄化役
「台風も来そうにないし、雨は諦めた方がいいかもね。でも、終わったあとでソフトクリー
ムくらいなら付合ってもいいわよ」
そう言うと、いつみは少し顎を上げて斜めから斎月を見る。言ってしまってから少し後
悔してるみたいだ。少し恥ずかしそうで少し不安そう。
「ほんとに?? やったー!!」
斎月は満面の笑顔でそう言って、ぎゅーっと虎のぬいぐるみを抱きしめた。虎の顔に
変なしわが寄る。いつみはまた口を引き結んで、頬に力を入れる。
「じゃあ、私勉強するから。もう話しかけないでね」
そう言うといつみはくるりと斎月に背を向けてしまう。
「……はーい」
斎月はまた絨毯にゴロリと横になると目を瞑った。とても安心した、幸福な気持ちで斎
月はいつの間にか寝入ってしまっていた。