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ツインテール探偵くるみの密室

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 放課後、俺が探偵事務所に一人でいると、坂谷栞さんが現われた。一年先輩で美人、隣の漫画同好会の部長でもある。くるみのことが大好きでいつもそばにいる。くるみにならって俺のことをワトくんと呼んでいる。
「ワトくん、わたしの傘消えたみたいなの」
 昨年と同じことを栞さんが言った。
「またくるみでしょ。どんな傘ですか?」
「ビニール傘よ。壊れていたからべつにいいんだけど」
 廊下の窓が閉まらないので、雪が入らないよう差していたらしい。
「ひょっとしたら」
 今朝見た傘と予告状の話をした。
「そんなことがあったんだ。見せて」

 紙を渡して、すぐ「海東歩美でしょ」と、あっさり見破った。
「くるみはそう思ってないですよ」
「ワトくん。言っちゃ駄目よ」
 唇に指を当てた。
 紙の両端に鉛筆の先で開けたような穴を見つけて、
「これは?」
「初めから開いてましたよ」
 栞さんはなにか考え込むようにして黙ってしまった。