ツインテール探偵くるみの密室
栞さんと一緒に廊下に出た。くるみの言いつけで、現場はそのままだ。しかし、傘が見当たらない。
栞さんが事務所のドアを上から下まで観察していた。
「見て」
ドアの下に5cmくらい隙間があった。
「もっと狭かったと思ったけど」
「スノコに隠れていたのね」
「予告状は下から入れたんでしょうか?」
「テーブルの上にあったでしょ」
「そっか」
「上も少し隙間があるね。ワトくん、予告状を入れてみて」
試してみたが、室内のドア近くに落ちただけだった。
「なにしてるの?」
くるみがやって来た。俺が傘の話をすると、
「くるみがドジやったんだろ、って思ってるでしょ」
自覚はあるようだ。
「今朝あっただろ、傘立てに」
「え? あれのこと」
歩美の傘と思って校舎に持って行ったらしい。
「ごめんなさい」
と、くるみが小さな声で謝った。
「気にしないで。どうせ捨てるつもりだったの」
「歩美に連絡したら、あとで返しに来るって」
「それより、今朝の事件をもっと聞かせて」
と、栞さんが言った。
作品名:ツインテール探偵くるみの密室 作家名:へぼろん