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ツインテール探偵くるみの密室

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「ありがとう」
 校舎の出入り口で歩美が俺の背中から降りた。
「保健室に行った方がいいんじゃないか?」
「平気よ」
 と、微笑んだ。
「やっぱり、なにか仕掛けてたのか?」
 それには答えず「汚しちゃったね」と言って、コートの背中をハンカチで拭いてくれた。
「べつにいいよ」
「だめ、後ろ向いて」
 歩美に背中を向けると、探偵事務所を指さすくるみの姿が見えた。
「そっか、鍵は俺が持ってたんだ」

 ミステリーハウスに戻ると、くるみがいなかった。探偵事務所のドアの鍵を開けて中に入ると、斜めになったテーブルの上に紙が一枚置かれていた。

 『ミステリーハウスを頂きます。怪盗A(エース)』と書かれていた。

 歩美の仕業だろう。括弧で読み仮名まで付けてある。顔を上げると、金網を登るくるみの姿が見えた。窓の鍵を開けて、
「何してるんだよ」
「屋根の上を調べてくる」
 俺は体を乗り出して止めた。