ツインテール探偵くるみの密室
ミステリーハウスまで戻るよう言われた。背中には予告状が付いている。歩き出すと、校舎に残っているくるみが釣り糸をたぐり寄せ始めた。
「事務所に入ったら、紙が落ちるまで糸を引くってことね」
一緒に歩いている栞さんがトリックを補足した。
「うまくいくわけないじゃない」
と、歩美が鼻で笑っていた。
朝と同じように鍵を開けて事務所に入り、テーブルとソファーの間を歩いていると、「すごい」と言う歩美の声が聞こえた。振り返ると、予告状がテーブルの上にあった。
「できたできた?」
くるみが事務所に飛び込んで来た。
「ばっちりよ、くるみ」
と、栞さんがテーブルの上を指さす。くるみが嬉しそうに飛び跳ねていた。確かに見事だと言いたい。だが、今朝入ったとき、予告状は目の前にあったはずだ。
作品名:ツインテール探偵くるみの密室 作家名:へぼろん