ツインテール探偵くるみの密室
「ワトちゃん、レッツ・ゴー!」
朝と同じように、校舎に向かって歩いた。俺に負ぶさったくるみが釣り糸を垂らしている。
校舎の出入り口にたどり着くと、
「コートを汚したのは予告状を縫い付けるためなの」
と言って、裁縫用の針と糸を取り出した。指にはバンソウコウが貼られている。
「裁縫セットは女の子の必需品よ。持っていても変じゃない」
「くるみのカバンにはお菓子しか入ってないだろ」
「いいから、背中向けて」
予告状の二つの穴に通した糸の両端を俺のコートに縫い付けていた。
「あとで抜けるよう軽く……いたっ」
「歩美はそんなこと言ってなかったぞ」
「いいから、動かないで」
最後に糸の片方と釣り糸を結んでから、
「はい、完成」
と、俺の背中を叩いた。
作品名:ツインテール探偵くるみの密室 作家名:へぼろん