ツインテール探偵くるみの密室
「今朝の歩美の行動は密室の事務所に予告状を置くためだったのです」
くるみは机の上に座って足を組んだ。
「つまり、二重密室予告状事件を仕掛けた怪盗エースの正体は……」
歩美を指さし、
「海東歩美、あなたよ」
部屋の中に沈黙が流れた。
栞さんと歩美の囁き声が聞こえた。
「あの子、気付いてなかったの?」
「そう。だから、付き合ってあげて」
「なんでわたしが」
「歩美が始めたんでしょ」
歩美が咳払いしてから、
「あ、あなたが言うように怪盗エースのしょ……」
「証拠ね」
「へ?」
「歩美がエースだという証拠を見せなさいって言いたいのね」
「べつに」
「今はないけど、必ず見つけてみせる」
そう言って拳を握り締めた。
「今回の勝負は引き分けでいいわ」
歩美も少しずつ、くるみのことが理解できてくるだろう。
作品名:ツインテール探偵くるみの密室 作家名:へぼろん