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The Over The Paradise Peak...

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BVR 04 CASE “MASAKI”

 正樹達にしばらく遅れて、数十名の人々がロビーを脱出して来た。
 中には勿論伊丹達の姿もある。

 正樹達二人を見つけた伊丹が、安心したような、なんとも嬉しげな笑みを浮かべて駆け寄って来た。

「柴崎君、坂下さんも、はぐれてなくて良かったよ、ロビーは今酷く混乱してるから――」

「君達! 団体行動をなんだと思ってるんだね!」

 伊丹さんの前に横から割り込む様にして来たのは――。

「誰?」

「高橋だ! 今は非常時なんだぞ、こんな時こそ一丸となって日本人としての見識――」

 付き合ってられるか。

 全身と瞳と表情でそれを伝えて、久美を振り返る正樹。

「とりあえず荷物を探そう?」

 さっさと歩き出す。
 背後から更に喚きたてる声が響いて来るが、こんな場所であれだけ喚いて見識も何もあったものではない。
 周辺の人々は高橋達を見つめて、何事かと目をまるくしているのだ。

「今の判断はなかなか良かったよ、ところで、この荷物はもしかして?」

 相変わらずいきなりの台詞で声をかけて来たのは篠原である。
 何やら渋い顔で周りを見渡している。

「多分篠原さんが思ってる通りだと思いますよ?」

 再び自分達の荷物を探しながら、歩き始める正樹達。
 ため息をついた篠原が、未だに騒いでいる日本人御一行様に向かって大声を出す。

「伊丹さん! 帰ったらコロンビア政府に正式に抗議してくれ! この荷物は乗員にも乗客にも黙って勝手に降ろした物だぞ!」

 高橋の喚く声が一瞬止んで、即座に再開された。もちろんコロンビア政府とコロンビア国軍への文句だろう。
 一瞬の間を置き、全員自分の荷物を探し始めて、既に誰も聞いてはいなかったのではあるが……。