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リュリュー
リュリュー
novelistID. 15928
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樹竜の旅

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下りた。援助をお願いする(ように見せた)手紙を見せたというのもあるが、竜の周りに
いる彼をを厄介払いが出来ると思ったのだろう。

「よし、クリオはこれで大丈夫だろう、後は俺達だな…。」

クリオが無事プランティアへ向かったのを見届けると、俺はパレオの結び目を直すキズナ
へと見下ろした。

「キズナ、君は俺と一緒に残って良かったのか?クリオと一緒に出国するという手もあっ
たけれど…。」

「いいの…私は竜神様を信じているし、自分の身を守ることなんてできないし…。」

「そうか、確かにその方がかえって安全かもしれないな。俺も一緒に居て欲しいし…おや
…?」

ふと辺りを見回すと様子がおかしいことに気が付いた。周辺警護の兵士がいつもより明ら
かに多いのだ。俺から見えないように身を潜めてはいるけれど、数が多くて気配を隠しき
れてない。

「来たか…。」

兵士がこれまで見たことのないライフルを手にしているのを見て、クリオの不安が的中し
たことを俺は悟った。国王が竜をどうにかしようと実際に動き出したのだ。

「怖くないかキズナ…?」

「大丈夫、竜神様が側に居てくれれば怖いなんて思わないから。」

俺を眠らせるというクリオの話しから推察すると、おそらく麻酔銃で遠くから狙い撃ちし
てくるか、あるいは…。

(コンッ…)

不意に足下に、手のひらに収まるような金属の固まりが転がってきた。その瞬間
俺は片手でキズナの身体を抱え、耳元に囁いた。

「キズナ…!直ぐに口を俺の毛に押し当てるんだ。それと深く呼吸はするなよ。」

「竜神様…これって…!?」

「催眠ガスだ。手っ取り早い方法を使ってきたな。ちょいと一芝居を打つつもりだからキ
ズナもそのまま眠ったふりをしていてくれ、その方がキズナも怖くないだろう。」

「ええ、でも竜様は大丈夫なの…?」

「竜に効くガスなんてないよ。」

俺の言葉にキズナは直ぐに俺の胸へと口を押しつけた。キズナの暖かい口の感触が毛に伝
わってきたけれど、今はそれを気にしている場合じゃない。兵士が隠れている物陰をチラ
ッと見ると。僅かにチラチラと動く影が見えた。催眠ガスが効いたかどうか、未だに隠れ
て様子を伺っているらしい。

「これで…いい…?」

「上出来だ。絶対俺の手を離すなよっ。俺も…離さないから。」

「うんっ!」

口を胸のフサ毛に押しつけたキズナは大きく頷いた。ようやく姿を現しこちらへと走り寄
ってくる兵士達を一旦見届けると、俺はキズナを抱えたままそのまま床へとに横になった。

作品名:樹竜の旅 作家名:リュリュー