隠れ森のニジイロトカゲ
第3話 あそぼう
そんなある日のことでした。
いつものように森の中で、グラパールのことを尋ね歩いていたミゾーは、ひとりの少女と出会いました。
「ねぇ、あそぼう。」
ミゾーは、その少女に声を掛けました。
でも、この森は隠れ森、光の街に関わりがない者は決して許しません。
森の番人でもあるミゾーは、いつもそうやって、森の中に入り込んで来た者たちに話し掛けては、泥沼まで連れて行って殺してしまうのです。
下界のものたちは、隠れ森の中のどこかにあるはずの、そんな泥沼のことを“恐れ沼”と呼んで恐れます。
ミゾーは楽しいお話を聞かせながら、少女をどんどんと森の奥へと連れていきました。
ただ、この時のミゾーは、グラバールのことが気になっていて、いつもと少し違っていました。
グラパールのことを知りたいミゾーは、少女にお話しを聞かせる中で、金色のフクロウを知らないか尋ねます。
少女が知らないと答えると、今度は少女の住んでいる町に、金色のフクロウを見た者がいないかを尋ねます。
そんな会話をしているうちに、二人はとうとう、恐れ沼の近くまでやって来たのでした。
いつもならこの辺りで、人喰いトラのマットタスクを呼んで、その体に移るミゾーなのですが、やはり今日のミゾーはすこし変です。
作品名:隠れ森のニジイロトカゲ 作家名:天野久遠