隠れ森のニジイロトカゲ
第8話 クリスタルバニー再び
そう言われると、確かにあの頃から急に、光の街の者がこの隠れ森に、迷い込むことも少なくなっていて、ミゾーはクリスタルバニーを含めても、数人ほどにしか出会っていないと思いました。
「ねぇ、それじゃグラバールも、その黒豹に食べられちゃったの?」
「他にはもう、光の街の者たちはいないの?」
「それに何でボクやマッドタスクは大丈夫なの?」
ミゾーには判らないことだらけでしたが、傷付いていたシシオには、それ以上に詳しい説明は辛そうで、最後に一言だけ、ミゾーにこう告げたのです。
「キミたちはまだ大丈夫だ。そして残っている他の者も。」
「ただ…、クリスタルバニーが…。」
そこまで話すとシシオは、力つきたように倒れてしまいました。でも死んではいないようでした。
とはいっても、もう光の街への扉は開いているので、とにかく時間がありません。
ミゾーはシシオを抱えると、輝いている森の、その奥へと続く道を急いで進み、光の街への扉の前までやってくると、抱えていたシシオを、光の街への扉の奥へと「ゴロン」と転がしたのでした。
ミゾーはその後で、シシオの話してくれた内容を考えました。
とうやらシシオは光の街の護衛官らしくて、そのシシオの傷はダークネスと戦って負った傷で、シシオはこのことを、早く光の街に知らせなくてはならない。
そして未だグラバールの安否はハッキリしなし、自分とマッドタスク以外にも、人数は判らないけど、まだこの下界には光の街の者は残っている。彼等の状況は判らないけど、自分とマッドタスクの二人だけは、まだ安全な状態にあるらしい。
そして最後にミゾーが一番気になったのは、シシオが気を失う前に言った「クリスタルバニー…が」という言葉だったのですが、それがどう言うことなのか、一生懸命に考えても答えが見つけられませんでした。
作品名:隠れ森のニジイロトカゲ 作家名:天野久遠