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ぐるぐる廻る、僕らと僕と・・・。

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だけど、ももちゃんのもう片足も浮いているので、全体重が片足に乗っている状態になっている。
ももちゃんはきっとわざとやってるんだろうけど、というか絶対わざとだけど、これで僕の移動は遮られた。
これ、やられないようにきおつけてたんだけどなぁ。
「てやぁー」
ももちゃんは、超至近距離で僕の心臓をもう1度狙ってくる。
頼むからそんな一撃死の所ばかり狙わないでくれ。
コンティニゥー出来なくなったらどうするんだよ。
100円玉。
あんまり持ってないんだぞ。
…………………………。
よく考えると、100円玉ってなにげに便利だなとか思ったり。
その前に僕の命は100円玉なのかと思ったり。
どうでもいいけど。
とにかく僕は、向かって来たそれに向かって両手を伸ばす。
そして。
その、鋭い刃を。
あまり長くはないその刃を。
両手の平で、挟むように。
受け止めた。
ザ、白刃取り。
………………………………。
「…………………ふぅ」
出来てよかったぁっ。
安心安心。
ラッキー!。
なんて余裕かましている状況ではまったくないが。
ももちゃんは、
「おおっ、こーちゃんナイス!」
なんて喜びながら、すぐにナイフを引き抜き再び刺そうとしたところで、僕はおもいっきりももちゃんの小柄な体を突き飛ばした。
当然、女の子で小柄なももちゃんは、軽く吹っ飛ぶ。
だけど、地面に頭から落ちそうになった瞬間、体を捻って膝を地面について若干バランスを崩しながらも危なげなく着地した。
猫みたいだった。
にゃー。
………………。
絶対口には出さないと決めた。
ももちゃんは言う。
「ぬおー、危なかったよぉ」
僕がね。
「死ぬかと思ったよぉ」
僕がね。
「血が出ちゃったらやだなぁ」
何度も言うけど僕がね。
そしてももちゃんは、トン、と音をたて、僕の方に直進。
「…………っ」
僕はその時、ナイフが迫る前から後ろに下がって間を空けた。
「てやー」
と、ももちゃんは、なんだかやっぱり力の抜けるかけ声と共に。
2本のナイフを持って、切り掛かってきた。
ついに本気、かな?。
まずはももちゃん、僕の眉間辺りに一閃。
僕は後ろに下がっているので、それが目の真ん前を通過していく。
うん。
なかなかの絶景だ。
そして2閃目。
僕の喉を突き刺すように真っ直ぐに、もう一本より若干大きめのナイフが向かってくる。
またもや1撃死を狙った一発。
だけどそれは、フェイントだった。
「わっ」
脚が前に出る。
ナイフに視線を奪われているところで、ももちゃんは僕の膝の裏に脚をかけて、大内刈りのような感じで僕のバランスを崩してきた。
これではもう僕にはどうしようもない。
背中から地面に落ち痛っ。
尖った石が僕の背中に当たった。
刺さってはいなけどかなり痛い。
そして。
「てぇい」
と僕の上に馬乗りなるももちゃん。
うーんエロいとか言ってる場合ではないのだが、なかなかにいい眺めだ。
きじょー…………、うん、馬乗り。
「よっしょい」
それから。
そんなかけ声と共に。
僕の首筋に、交差するようにナイフの刃をももちゃんが当てる。
「…………………………」
なんとなく。
なんとなく僕は、ももちゃんの目をじっと見つめる。
すると。
ももちゃんは、僕の視線に見つめ返してきた。
「…………………」
「…………………」
見つめ合う2人、と心の中でナレーション。
「………………」
「………………っ。」
僅かに、片方のナイフが、僕の、首筋に、触れた。
そして、流れ出す、赤い液体。
真っ赤な、真っ赤な。
赤い、血。
それは、ナイフを伝って、地面に落ちていく。
朝日を浴びて、光る、ナイフの、刃。
それに、僕の、血。
その時、
……………………ああ。
僕は、思った。

…………背中が痛いてぇ。

うん。
滅茶苦茶痛い。
本当にマジで泣きそうなくらい痛い。
自分だけの体重の時はよかったけど、いくらももちゃんが小柄で痩せているだといっても、2人分の重み。
いい加減、刺さってしまいそうで怖い。
僕が心の中でそんな葛藤していると、
「……………あははははぁ!」
と、ももちゃんが笑い出した。
そして、僕の首に向けていたナイフを退ける。
「あははははははははははははははははははははははははははははははははぁ!!」
大笑い。
何がそんなにおかしいのか、非常に僕は不思議である。
「はははははっ。…………うん!、よっせと」
ももちゃんは、笑うのを止め、頷き、それから僕の顔の方に前のめりになり。
ベろっ、と僕の首筋を流れる血液を舐めた。
「っっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!」
思わず全身に鳥肌がたった。
こう、ぞわっ、と。
ももちゃんは、流れてくる血液を何度か舐め、それから傷口まで丹念に舐め、最後に軽く傷口を吸って、上半身を起こした。
「…………………」
完全に固まってる僕。
そんな僕にももちゃんはにっこり笑って。
「よし、消毒しゅーりょー。」
と言った。
………………………いやぁ。
正直なところ。
最後のが、一番効きました。
まだ鳥肌が、これでもかというほど疼いている。
それでも僕は、とりあえずももちゃんに言った。
「おさまった?」
「うん!、パーフェクトにおさまったよ!」
それは結構。
まさしく結構。
それなら早く、今すぐに僕の上からどきやがれ。
いいかげん背中が限界だ。
ブスッときそうでなんかやだ。
「よっこいせー」
僕の願いを知って知らずか、ももちゃんが僕の上から退く。
そして僕は、痛む背中をさすりながら起きあがった。
「ってて………………ふぅ。」
ある程度背中をさすってから、僕はももちゃんを見て言う。
「じゃ、そろそろ家に戻る?」
「おっけー」
「よし行こうか、って待った待った」
「にゃに?」
「それそれ、ナイフしまってよ」
「あっ、忘れるとこっだったよー」
駄目だよ忘れちゃ。
そんもん持って人様の前に行くなんて大変だ。
少なくとも僕には無理だ。
そんなことが出来るのは、刃物マニアか殺人狂くらいのものだろう。
「えっと…」
そう言いながらももちゃんは、おもむろにナイフを仕舞おうとし。
なぜか、パジャマのズボンを開いた。
「…………………………………………………」
白色だった。
しかもただの白じゃなくて紐だった。
なかなか衝撃の光景だった。
そしてももちゃんは、そのパンツのサイドに、ナイフを仕舞いこむ。
…………………うーん。
パジャマとのギャップがなんとも。
エロい、とか言わないけど。
しっかり見ちゃった。
「…ももちゃん」
「なに?こーくん」
「なんでそこに仕舞うの?」
「だってこのパジャマ、ポケットないんだもーん」
なるほど。
確かによく見ると、ももちゃんの卵殻のパジャマにはポケットが無かった。
だけどこれで納得するのも、なんだかすごくしゃくだし、別にそこじゃなくてもいい気もするけど。
…………まっ。
何にしても。
どうでもいいんだけどね。
「行こうか」
「うん!」
そして僕らは自宅に向かっていった。
「あっ、そういえばももちゃん」
「んー?」
「髪の匂い、嗅いで良い?」
「いいよぉー」











<1章=おはよう>











現在時刻7時。