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ぐるぐる廻る、僕らと僕と・・・。

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あの先生、すごいきびしいので有名だし、1年生の時のクラスでの掃除の後のチェックも嫌みな姑なみだったからなぁ。初めて見たよ、窓のさんを指でなぞる人。どうでもよかっ
たけど、無理矢理掃除させられた記憶は忘れがたい。
木沢は、その首を結構重いのかしっかりと持って、準備室に向かい、それをおそらくは自分のロッカーであろう場所に入れる。その後準備室から出て鍵をかけ、ようやく僕のお役は御免になった。
そして、校門に向かいながら再び疑問に思う。
なぜ僕は、木沢と美島と一緒に昇降口にいるのであろう。(茉矢木は用事があると行ってどこかにいった。)
「あのぉ。」
「どうしたこうくん?。早く行こう。」
と、靴を履きながら僕を急かす美島。
「・・・・・・・・・・なんでお2人は僕の後ろに付いてきてるの?。」
「せっかくだから一緒に帰ろうと思ってな。な、梨沙。」
「えっ?、あ、うん。えへへ。」
「いや、僕は別に・・・。」
「さあさあ行くぞ。」
ちょっと、背中押すなって。
僕は、無理矢理校門の方に押されていく。どうやら2人とは帰る方向は一緒らしいけど、うむ、困った。
校門につくと、紅葉が立っていた。僕の方を、目尻がこれでもかというほどつり上がった目で見てきたけど、その後ろにいる2人を見て、逸らす。
「ごめん、ちょっと遅れた。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
無視された。
「あれ?隣のクラスの、薙、さん、だっけ?。」
美島は、僕と紅葉の様子を交互に見て首を傾げる。
「もしかして、お邪魔だった?。」
そして僕の方を窺う。とりあえず僕はそれに首を振っておいた。
「うんん、別に。それと一緒に帰ってるのは家が同じ方向で、編入の時期が一緒だったからなんだ。」
と疑問を先読みして適当に誤魔化して説明する。
「あっ、そう言えば昨日もそうだったよね。」
木沢さんは相づちをうつ。
うむ、出来るだけ自然に帰ってるつもりのだったんだけど、以外と見られているらしい。別にばれてもいいんだけど。
紅葉が歩き出したので、僕と美島と木沢も歩き出した。
「2人はいつも一緒に帰ってるの?。」
「うん。私たち両方とも部活やってるから、時間合わせて一緒にね。」
「私の方がいつも遅いから梨沙を待たせているけどな。」
ふーん、なるほど。
「やっぱり仲がいいんだね。」
「ふふっ。こうくんこそ、薙さんとは浅からぬ仲のようじゃないか?。」
「さあね。」
実際は浅からぬというよりは、・・・・・・・・ふむ。
いい加減、聞いてみるか。
「それよりもさ。」
「?。」
「なんだ?。」
「2人とも、僕に話があるんじゃないの?。」
僕がそう言うと、2人は目を見開き、驚いたような表情をした。
分かりやすい肯定の態度でよろしい。
木沢が、口を開く。
「・・・・・・・・・どうして、そう思う、の?」
表情から、明るさが抜けていく。
「何となくだよ。」
明らかに、不自然だったもんなぁ。
無理矢理僕と一緒に帰ろうとしたときとか。それにきっと、手伝わされたのも、このための布石だろうし。
「それで、何の話し?。」
紅葉もなんだか不機嫌だし、喋らないし、家に着くまでぐらいなら聞いてもいいかなと思って聞いてみた。
2人は、顔を合わせる。心なしか、木沢の方が表情の陰りが強いような気がする。
「・・・・・・・・・こうくん、お願いがあるんだけど。」
美島が僕に言う。
「出来れば今から言うことは、口外しないで欲しいんだ。」
「別にいいけど。」
明日まで覚えているか、自信ないしね。どうでもいいから。
そして美島は、意を決したように僕に言う。
「梨沙、・・・・・・・・・・・ストーカーされてるみたいなんだ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほう。」
としか言いようがないような。
木沢の方を向くと、若干下を向いて俯いている。
でも、ねぇ。
「・・・・・・・・そんなことを僕に相談されても。警察に行けとしか。」
「でも、警察は、」
「うん、無理だろうね。」
具体的な被害が出ない限り、警察は動かないだろうから。
それが、現実だから。
「そもそもなんでストーカーされてるって気づいたの?。」
僕がそう聞くと、木沢は顔を少し上げる。でも、目線は合わせない。
「具体的には、言えないんだけど。・・・・・何気なくふっと後ろむくと、さっと誰かが物陰に隠れるの。最初は、偶然かなって、思ってたんだけど・・・・。」
「なるほど。それが何回もあったと。」
「うん・・・・・。」
さらに木沢が言うには、夜何気なく窓を開けたときとか、明らかに誰かの視線感じるので辺りを見渡すと、歩いているときと同じように誰かが隠れるらしい。
それも毎日というわけでもないが、かなり頻繁に。
もちろん確認するのは怖くてしていない。
それと、跡を付けられるのは学校帰り多いということ。
これは僕らが学生だから当たり前のことなのだろうけど。学校に行ってる時間が一番多いしね。それに、時間が規則的だから。
結構、長い期間、木沢そのストーカーにつけられているらしい。
だけど、写真をとられたり、何かを盗まれたり、襲われたりと、直接的な事をされたわけでもないそうだ。。
「ふーん。」
「ふーんってこうくん。梨沙は本気で悩んでるんだぞ。」
「そう。でも僕にはどうしようもないよ。内容が漠然とし過ぎていて、そのストーカーの存在さえはっきりしないし。」
直接会えれば、何とでもなるけど。面倒だし。
「どういう意味?。」
「いや。ただ木沢の意識のし過ぎってことはないだろうかと。」
「・・・・梨沙の被害妄想だと言いたいのか?。」
僅かに怒気をはらんだ声を出す美島。
背中に背負っている竹刀袋が異常に恐ろしく感じるよ。
「菜月ちゃん。」
木沢が、美島を抑える。
「落ちついて、お願い。」
「・・・・・・・・・・・・・・すまない。」
美島は大人しく引き下がる。
なんだか本人よりも怒っているような気がする。
「そもそもどうして僕に話そうと思ったの?。」
「え、・・・・・・うん。」
木沢は表情の陰りを強くしながら言う。
そう言う顔もなかなか、とか言ったら本当に空気読めない人なんだろうな。
「今日、うちの学校で、人が死んだって聞いて、・・・・・・・・・・それで、その。」
「怖くなった、と。」
「・・・・・・・・・・・・・・うん。」
「でもそれだと僕に話した理由とは直結しないよね?。」
「・・・・それは・・・・・・・うん・・・・・・・・・・・・・。」
木沢は再び俯く。
同時に、美島が僕の両腕を押さえるように迫ってきた。
一瞬ついに竹刀の登場か?、と心配したけど、違った。
美島は僕に、真摯に訴える。
その瞳に、僕を移して、美化したフィルターをかけて。
「頼む、こうくん・・・・。梨沙を、・・・・・梨沙を助けてくれっ。」
美島は言う。
「あの時みたいに。・・・・・あの時、私たちを助けたみたいにっ!。」
「ちょっと待った。」
僕は美島の言葉にストップをかける。