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ぐるぐる廻る、僕らと僕と・・・。

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「重いのもあるけど、どっちかっていうと数が多いんだよね。」
えへへ、と頭を掻いて笑う木沢さん。
その笑い方にどうしても思春期男児の心を当てはめそうになってしまう。そして僕はと言えば思春期を通り越して心だけ成人してしまっているので特に効果なさそうだ。
自分でもよく分からないけど。
そして僕は、特別教室廉へと連れて行かれる。
もしかしてまた切った貼ったの文句でも付けられるのではないかと一瞬危惧いたけどそんなこともなく、とりあえず僕が連れてこられてのは特別廉2階の美術室、ではなくその下の1階と示された階段の横。普通教室廉から特別廉に渡ってくる通路のすぐ側。
他の教室とは違ってスライド式ではなく、普通にノブを捻って開け閉めするタイプのドアの前だ。何が普通なのかはわからないけど。
で、何となく僕はそのノブを捻った。
「あれ?。」
開かなかった。
それから逆回転させても開かなかった。
当たり前だけど。
「こうくん、それ鍵掛かってるよ。」
と茉矢木くんは相変わらず爽やかな笑みで僕に言う。
いや、まぁ気づいてたんですけど、なんとなく、ね。
ここで、開け大豆なんて言ったら僕の脳みそが大豆で出来ているのかと疑われるわけだ。
どうでもいいけど。好きです、豆みそ。
「じゃあどうやって開けるの?。」
僕がそう聞くと、木沢が僕の隣に、つまりは扉の前に歩いてきた。
そして、う〜んと背伸びをする。
悪いけど、いくら僕があんまり身長高いほうじゃないといっても、170はある。
さすがにそれぐらいじゃあ僕の身長は抜けないよと思うけど、どうやら木沢の目的は違ったようだ。
精一杯背伸びしてなんだか支えてあげるような振りをしてセクハラをしたくなるような衝動に駆られたりしないけど、隣いる茉矢木くんは駆られているようだった。
背伸びした木沢は手を伸ばし、通気口と扉の間にある準備室と書かれたプレートの裏から何かを取り出した。そしてどうやらそれは鍵らしかった。
「じゃーん、えへへ。昔らからの伝統でね、準備室の鍵はずっと此処にあるの。」
小さな伝統だ、という僕の感想。
「というかそれを僕に見せていいの?。」
「ん?、いいんじゃないのかな?。」
と首を傾げる木沢。
「適当だなぁ。」
「えへへ。でも文化部の人はみんな知ってるよ。」
「そうそう。」
茉矢木は頷く。
ちなみに彼は木沢と同じ美術部らしい。昨日は無断で失礼しましたと謝っておこうかと思ったけど面倒だしやめた。
「薄っぺらい伝統だ。」
「ちなみに私も知ってるぞ。」
運動部の美島さんは得意げだ。
すでにフリーダムでした。伝統が泣いてるぞ、どうでもいいけど。
木沢が扉を開ける。
部屋のなかにはいくつかのロッカーがあり、どうやら文化部系の生徒達が各々の用具を仕舞っているようだ。
「それにしも、真っ暗だねぇ。」
厚めのカーテンが閉まっているせいか、部屋は薄暗いというかあきらかに暗い。
「ああ。美術部使ってる絵の具とかでな、日の光が当たると変色しちゃう特殊なやつもあるからカーテンは常時閉めたままなんだ。・・・・・・・・・えーと。」
茉矢木はそう言いながら、壁をの辺りを手探りで触っている。そして少しすると電気がついたので、どうやらスイッチを探していたらしい。
部屋の全貌が開かれた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
一言感想を言うなら、伝統は無いと言っておこう。
確かに壁際にある棚とか、僅かに開いたロッカーの間からはそれなりの道具や、保管してある作品などが見えるけど。
「まさに自由、だな。」
「えへへ。」
僕の感想に、木沢が笑う。
それもそうだろう。部屋の中はある意味すごかった。
というかすでに生徒の私室となっていた。
積み上げられたマンガにお菓子、しかも小さいながら冷蔵庫まである。しかも茉矢木が僕の様子を見て棚にあったダンボールを開いて見せてくれると、中からはテレビまで出てきた。隣にはゲームのハードまで置いてあるからお前達は学校に何をしに来てるんだと言いたくなったり。
「いい部屋だね。」
「だろ。」
と茉矢木くん。
「私もたまにお邪魔しているぞ。」
と置いてある袋から慣れた様子で飴を取り出して舐める運動部の美島さん。あんたの部室は此処じゃねえだろ。
ともかく話が進みそうにないので進めてみる事にした。
「何を運べばいいの?。」
「あ、うん。えっとね・・・。」
部屋の隅に置いてあるダンボールを指さす木沢。
「あれ、なんだけど。」
そう言って、そのダンボールのしばに寄って行き、蓋を開ける。その中にも、いくつかの箱があった。
「何これ?。」
「美術部の備品。新しく購入したやつでさ。これが以外と重くってな。数もあるから人数いたほうが楽だし。」
「ふーん。」
「俺達はこれを美術室に持っていけばいいってわけ。」
茉矢木は中にある箱を3つほど持ち上げ、扉の外に出ていく。
僕も同じように、2つほど持つ。
木沢は、少し大きめのを1つ持ち、美島にいたっては両手に2つづつバランスよく持っていた。そして、僕らはそのまま2階に向かい、美術室中に入っていく。
途中、屋上に向かう階段を見たが、誰も入れないように塞がれていた。
そして美術室に入った僕らは、持ってきた荷物を中にあった机の上に置き、もう2度ほど同じ行程を繰り返して、作業は終わる。
正直疲れた。
「・・・・・・今思ったんだけどさ。」
「?、どうしたんこうくん?。」
「他の美術部の連中に頼めばよかったんじゃないの?。」
部員がこの2人だけということはないだろう。飾ってある作品や道具が、2人分にしては明らかに多すぎる。
だが茉矢木は、苦笑いで手を振っている。
「無理無理。これって当番制だからさ。面倒だし、わざわざ自分が当番じゃないときにやろうと思うやつなんていないって。」
正直、そんな内情に僕を巻き込むなというのが本音だ。
あーあ、また怒ってそうだなぁ。
「美島は部活なかったの?。」
「今日は休みだ。それにどうせ暇だったし、少しぐらい体を動かしておこうと思ってな。」「そうですか・・・・。」
悪いが僕はそんなに健全じゃないので同意は出来ない。帰宅部だしね、ん?。何かを蹴ったような気がする。しゃがんでみると、何かの欠片だった。なんだゴミか。
どうでもよかったので、立ち上がる。
そして、木沢さんが生首を持っていました。
「・・・・・・・・・・・・・・・木沢、それなに?。」
「え、えーとね。」
と、両手で薄緑色の昔のギリシャの人の首のような持っている木沢。
結構古い物なのか、所々欠けているし、何より薄いけど茶色っぽい染みまで付いていて不気味でしょうがない。というかこっちに顔を向けるな。
「部活で写生練習ようの銅像なんだけど、今私が借りててね。この間使ったまま美術室においてっちゃって。」
「おいおい。」
茉矢木は、口の端を引きつらせて言う。
「狩谷先生に見つからなくてよかったな。あの人、美術部の備品全部チェック入れてるから。木沢も借りたときも名簿に記入したんだろ?。しっかり管理しないと。」
「うん。忘れっちゃっててね。えへへ。」
と笑う木沢さんだけど、たしかに僕もそれは納得だ。