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ぐるぐる廻る、僕らと僕と・・・。

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「ふーん。じゃあ木沢に聞いてみれば?。」
「えっ!、私?。」
「うん。」
何てったって学年1割なんですから。
僕に話を振られて微妙に慌てた様子の木沢。
「べ、別に大したことはしてないよ。ただ毎日予習復習してるだけで・・・・・。」
「私だって毎日竹刀で素振りしてるぞ。」
「それで成績が伸びたら今度僕にも教えてよ。」
「それは嫌みなのかこうくん。」
「そう聞こえたならそうなんじゃないかな。」
「むっ・・・・・・・・・・・・。」
口をへの字にして、僕を睨む木沢。
「どうしたの美島さん?。」
「今日のこうくんは嫌いだ。」
「じゃあ明日好きでいてもらえるように努力するよ。」
「うん。精進しなさい。」
「それより菜月ちゃんが勉強したほうがいいんじゃないかな?。」
珍しく木沢さんが突っ込みにまわったぞ。
まぁ、僕がある程度勉強が出来る訳は、至極簡単なんだけどね。
なんたって家には優秀な家庭教師がいるから。
・・・・・・・・・・・・・・・・ふむ。
家庭教師って、なんだかちょっとエロ、くもないか。
どうでもいいしね。
「あれ?。」
木沢は前を向いて声をあげた。
僕と美島もそれにつられて前を見る。
そこには、僕らのクラスの担任が、教室の前のドアを開けて教室の中を見渡していた。
なんだ妙な雰囲気だ。
そして、少しして僕と目が合う。
ちょっと、予感が、頭をよぎった。
経験から来るものというよりは、虫の知らせに近い感じで。
「おい、ちょっといいか。」
そして担任(38才、男性、既婚)は、僕の名前を呼んで手招きした。
うーむ。
的中しないといいなぁ。
僕は立ち上がって、先生の側に寄っていく。
ついでにクラス中の視線も僕に釘付けだ。
木沢と美島も目を丸くして見てる。
僕が先生の前につくと、先生は教室外に僕を出し、ドアを閉めた。
「どうしたんですか?。」
僕のその問いに、僅かな躊躇いのあと先生は簡潔に言う。
「警察が、おまえに話を聞きたいらしい。」




<9章=よびよ>

担任の先生に案内されて僕がついた場所は、来客用の応接室だった。
当たり前だけど、この学校の生徒である僕は1度して入ったことはないし、別段入りたかったわけでもないけど。
出来るなら、もうちょっと穏便な内容で呼ばれたかったと切々に思っている。
まぁ、どうでもいいんだけど。
とりえず、先生に催促されたのでドア開けて1歩中に踏み込んだ。
「あっ、どうもどうも。」
中にはいるとまず、軽い感じで挨拶された。
部屋の中にいたのは2人の中年の男で、たぶん2人共警察だろうな。
雰囲気で、それは分かるし、そもそも先生に言われてたんだっけ。
2人とも、応接室のソファに座っている。
片方の今挨拶したほうは、少しよれた感じのスーツを着ていて、軽そうなそれでいてつかみ所がないような感じだ。かなり猫を背負っている背中に、口の端で笑うような笑い方をしているところがいやらしい。それでいて威圧感がないわけではないところが、あれだね。
もう1人の方はこちらとは真逆で、しっかりと伸ばした背筋に、眼鏡の奥に光る鋭い眼光、堅く結んだ口元と、ばっちり堅苦しそうだった。というか相手を萎縮させるための存在だと説明されても納得してしまいそうなほどに鋭い。それだけで気の弱い人間なら卒倒してしまいそうなほどに。
うむ。
今までに1度も見たことがない人達だな。
別に普段から警察にお世話になってるわけじゃないけど。
僕がそんなことを考えてると、軽そうな方の人が、先生に言う。
「すみませんねえ。では、先生さんはいいですので。はい、どうでもでした。」
先生はそう言われ、少し躊躇して僕を見てから、おずおずといった調子で引き下がっていった。
どうやら僕と一対一、じゃないか。二対一で話す気のようだ。
別に僕が先生の同伴を強く要請すれば断るわけにはいかないのだろうけど、別段、必要に感じなかったのでやめておいた。
どうせいても二対一プラス他1名程度差だっただろうし。
先生が完全に去ったのを確認して、僕は声をかけられた。
「わるいですねえ、学生君。あっ、そこに座ってくれるかな。」
そう言って、僕に自分達の座る正面のソファを勧めてきた。
特に断る理由もないので、僕はソファに深く腰掛ける。
ソファはちょっと、スプリングが堅すぎる気がしてならない。
やっぱり僕はももちゃんの部屋にある低反発のソファが好きだなぁ、教室の椅子よりかは遙かにマシだけど。
僕がソファに座ると、やはり軽い方の男が、含み笑いをしながら胸から手帳を取り出して僕に見せてきた。
「まあ、もう先生から聞いてると思いますけど、僕は、県警の唐木花袋って言います。」
ふーん、変わったな名前だな。僕が言えた義理でもないけど。
唐木さんが言うと、隣にいたもう1人の刑事さんも同じように名乗る。
「同じく県警の、阿東英治だ。」
「どうも。」
とりあえず、挨拶対して僕が返事を返し、それから僕の名前を確認する。
「へぇ、変わった名前ですね。今まで見たことがないですよ。」
「そうですか。」
僕はそれに、同意だけはしておいた。
おそらく、相手はすでに把握していたことだろうから。
「授業中に呼び出しちゃって悪いですねぇ。僕らとしても手早く終わらせたいですから。ちょっと質問に答えてくれるだけでいいんですよ。」
「はあ。」
というか他にすることもないだろうに。
どうでもいいけど、さっきから話しているのはほとんど唐木さんだけだ。
なんらかの役割分担があることがそこから分かる。
「うん。では聞きますけど。・・・・・もしかして君はもう知ってますか?。」
最初の質問にして、最初の詰問。
うむ、様子見か。
というか手早く終わりそうもないな。
こっちも早めに把握するか。
「何をです?。」
「今日、この学校で生徒さんが1人死んだんですよ。」
いきなり本題に入ってきた。
そして、さっきから強い視線を阿東さんから感じる。
反応を見ているってことか。
少しだけ、この2人の意味が垣間見えた。
「そうですか。」
「ええ。・・・聞いていません?。」
唐木さんは、僕を下から見上げるように見てくる。
「風の噂で少し。」
「クラスメートか誰かに聞いたんですか?」
「さぁ、よく覚えていませんね。学校は狭いですから。珍しいことがあるとすぐに広まるので。」
「ははっ。なるほどなるほど。では、遺体は見ていないのですね?。」
「いえ、今朝見ました。学校に来たら人だかりが出来ていたのでその時。」
美島の時とは違い、僕ははっきりと言った。
此処で曖昧にして、後で追求されても面倒そうだし。
僕がそう言うと、唐木さんは奇妙な顔をした。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ほお。そう、ですか。」
「はい。」
「・・・・・・・うん、なるほど。だから僕が生徒さんが死んだと言った時も驚かなかったんですね。」
「そんなとこです。」
実際は、違うけど。
慣れと、それ以外にいろいろと。
何にしても、どうでもいいことだったから。
僕の答えに唐木さんは、膝を2度ほど叩き。
「ははははははははははははははははっ。」
なんだこの人、いきなり笑い出したぞ。
どうやら何か僕の発言がつぼに嵌ったらしい。