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ぐるぐる廻る、僕らと僕と・・・。

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「同じ時期に編入してきたとかどうとか知らないけどよ。おまえが毎日薙ちゃんの所に来るせいであの子の立場も悪くなってんだよ。」
「ふーん。」
僕のせいで、ねぇ。
自分だけのためじゃないと言いたい訳だ。
「分かってんのか?。おまえは、俺達にとっても、薙ちゃんにとってもかなり迷惑な存在なんだよ。」
「そう。」
どうしても自分本意じゃないって事をを訴えるわけね。
しかも薙ちゃんにとっても、か。
押しつけがましいにもほどがあるんだろうなぁ。
どうでもいいけど。
もういっか。
「あのさ。」
「あぁ?。」
「そんなに言うなら、本人に聞いてみればいいじゃん。」
「っ・・・・・・・・・・・。」
「自信があるんだろ?。その、薙ちゃん、が僕の事を迷惑だって思ってるっていう。それで本人が迷惑だって言うなら僕は2度と彼女に近づかないよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
千種くんは沈黙している。
いい加減、結構時間経ってしまっているので、だんだん怖くなってきた。
それはもちろん待ち人のご機嫌であるのだが。
左腕、痛いなぁ。
それに、とりあえず待ち人はなかなか人気者であることが分かった。
かわいいしね。
「うん。それじゃ千種くん。僕はもう行くから。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
僕は何も言わない千種の横を、昇降口の方に向かって通り過ぎていく。
さて、今日の夕食はなんだろうなぁ?。
ももちゃんが作るとカロリーとか関係なしに油分多めだけど、みみさんの場合はあっさり系の菜食中心だもんな。
肉はメインじゃなくて、どちらかといえばサブ役割をしている料理が多い。
後中華。
なんでもおいしいからいいんだけどね。
さーて・・。
「ちょっと待てよっ!!。」
「うん?。」
なんだ?、後ろから声が。
僕が後ろに振り返ってみると、そこには1人の明るい茶髪の男子生徒がって確か千種なんたらくんだった。
みみさんの夕食が楽しみで一瞬忘れちゃってたよ。
で、なんで呼び止められたんだっけ?。
「・・・・・・・・・・・言ってたぞ。」
「ん?。」
千種なんたらくんは今までで一番好色そうな、得意げそうな顔をして、自信満々に虚勢を張って言っている。
虚しい勢い、まさにそれだな。
「言ってた言ってるんだよ。」
「何を?、誰が?。」
分かり切ってることをあえて聞いてみた。
「その薙ちゃんが、おまえのことを迷惑だって言ってた言ってるんだよ。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「おまえが毎日毎日来るのが鬱陶しくてしょうがないだとよ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・ははっ、分かったかあんた!。薙ちゃんはおまえなんか邪魔でしょうがないんだよ!。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「どうなんだよ?。2度と来ないんだろ?。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「おいっ、なんか言えよ!。」
返す言葉すら惜しいとはこのことなかもしれないと悟りを開きかけていた。
だけど、
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「言えって言ってるだ・・。」
「嘘だな。」
僕は、言った。

「君が言ってるのは、全部嘘だな。」

僕の断言に狼狽する千種くん。
「・・・・・・・な、なんで、そう言えるんだよ。」
「別に、理由は在って無いようものだから。・・・・・でも君の言葉が虚構だらけの捏造まみれの虚言ばかりだってことは分かる。君は嘘をついている。これはこれ以上間違いなくて、これ以下もそう。」
「だから!、なんでだっていってるんだよ!!。」
いい加減錯乱してるのか怒ってるのかよく分からない千種くん。
僕的にも相当時間かかってるのでそろそろ切り上げないと本当にまずいので。
「君には、分からないよ。」
突き放す。
言葉で、ついでに態度でも。
明確な壁を、構築してみた。
「なっ・・・・・・・・・・・・に・・・・・・・。」
言葉に詰まる千種くん。
これ以上、相手にするのも億劫だ。
「君にはたぶん、絶対にわからないと思うよ。」
たぶんと言いつつ、絶対をつけても不自然があまりない。
日本語って不思議だなぁ。
「それじゃあね、千種君。また明日。覚えてたらね。」
「っ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」




急げ急げ。
遅刻だ遅刻。
うーん遠いなぁやっぱり。
それに基本的に特別教室廉と普通教室廉の間は一本しか通路がないのに、1人の生徒ともすれ違わない。
普通教室廉に来るとちらほら人影が見えないこともないが、基本的にどの教室も無人。
これは本当に急がないとな。
ご立腹なのが目に見えている。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うむ。」
それにしても。
僕は、さっきの会話を思い返す。
「嘘だよ、か。」
うん。
おもしろい。
笑わないけど、おかしくてしょうがない。
なんだそれ。
「君には分からない、ねぇ。」
一体どの口が言ってるんだろうなぁ。
笑い話にしかならないぞ、本当に。
「なんだろう?・・・・・・・・・・うん。」
本当に酷い、大した嗤い話だよ。
僕が言うとなんだか何を言ってもそんな気がしてならないけど。
今さらだしね。
まったく、どうしようもなく。
「滑稽だな。」
そうとしか、言いようがない。
僕は下駄箱で靴に履き替え、校内から外に出て校門に向かっていく。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・おっと。」
間違えた間違えた。
今日は僕らが買い出し当番だったんだっけ。
そしたら西門じゃなくて東門で待ち合わせだったな。
お店がある方向、僕の家とは反対側だし。
僕はすぐに踵を返し、僅かな坂道を上がって普通教室廉側から特別教室廉の方へとゴミ捨て場の方を抜けていく。
ようやく僕が西の校門から出ると、すでにそこには1人の女子生徒が立っていた。
真っ黒な髪の毛に、前髪パッツンの日本人形的な女の子。
僕はその子の側に寄っていく。
「お待たせ紅葉、待った?。」
「うんん、そんなに待ってない。」
僕の言葉に、紅葉はそう首を振って答えた。
あれ?。
怒って、ない?。
「紅葉?。」
そして、なぜか紅葉は僕の真ん前に迫って来ていた。
「コウ。」
「なに?。」
「ちょっと目瞑って。」
そう言って紅葉は、珍しく笑っている。
ふむ、滅多にみれないからもうちょっと観賞していたいけど、しょうがない。
僕は頷いてから素直に目を瞑った。
そして、同時に起こる風切り音。
さらに、ほぼ同時に起こるズドンという衝撃音。
発生源は僕の頭。
「・・・・・痛い。」
紅葉は振り下ろした鞄を持って、明らかにその表情を引きつらせていた。
「この愚図っ!、のろまっ!。どれだけ私を待たせたら気が済むわけ?。」
「先に行ってても・・。」
「口答えするな!。」
さらに鞄アタックが追加された。
しかも横じゃなくて縦だからかなり痛い。
教科書の重みプラスα。
何だろう?。
「ごめんなさいごめんなさい。」
とにかく素直に謝罪。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
無言の紅葉。
「紅葉?。」
「馬鹿。」