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ぐるぐる廻る、僕らと僕と・・・。

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そう思いながら僕は、教室に入ってドアを閉め、おっと。
予想以上に大きな音で閉めてしまったぜい。
その音に気づいたのか、男子生徒と女子生徒と他数名が僕の方を向いた。
そのほとんどはやはり、というか1つをのぞいて他全部は明らかに不歓迎な視線だ。
だから僕はその全ての視線に対してウインクをしたりはせずに、ただ1つのそれ以外に向かって歩いていく。
「やっほ。」
そして僕は、片手を挙げてその女生徒に話しかけた。
ついでにいつもこの時間は空いている隣の席に腰掛ける。
「ちっ。」
あからさまに舌打ちされた。
したのは女子生徒じゃなくて、茶髪の少年の方だけど。
僕のことを思いっきり嫌そうな目で見てくる。
そんなに見つめないでくれよ、照れるだろ。
冗談だけど。
それからその男子生徒は、もう1度女子生徒の方を向く。
その表情は僕の時とは正反対に軽めの笑顔だ。
底が見えるぜ。
「じゃあ薙ちゃん、考えといてね。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
薙ちゃんと呼ばれた女子生徒は、それに答えず、初めからずっと同じように外を眺め続けている。
男子生徒は、それで満足したのかどうかは知らないし興味ないけど、その女子生徒から離れていった。
「はい。」
で、僕はとりあえず弁当箱の内1つをその女子生徒の机の上に置いた。
「・・・・・・・・・・・。」
無言でそれを受け取る女子生徒。
特に挨拶もなく弁当を食べ始める僕ら。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「ねえ紅葉。」
何となく僕は紅葉に話しかけた。
「何?。」
僕の方を見ずに反応する紅葉。
話しながらも箸を動かす手は止めない。
「何の話ししてたの?。」
「別に。どうでもいいこと。」
「ふーん。どんな?。」
「知らない。一緒に昼食食べないかとか、今度一緒に遊びに行かないかとか、携帯番号教えてくれないとか。」
「へー。」
なるほど.
そういう感じのか。
青春青春、だよね。
確かに紅葉、外見はかなりいいからなぁ。ぜひ着物を着て欲しいことよ。
なんて言っても悪代官ですからな。
まぁ、とにかく。
あの視線も舌打ちも、僕が邪魔だってことか。
随分とあからさまだったからなぁ、どうでもいいけど。
どうせ僕の行動は変わらないし。
「クラスメイトのお誘いに乗らなくてよかったの?。」
「別に。興味もないし。そんなのわかってるでしょ。」
「まあね。」
「じゃあ聞くな。」
「ごめん。」
ふむ。
なんだかご機嫌斜めだな、いつも通りだけどいつもより少し悪い。
もしかするとまだ魚の骨の事怒ってるのかも知れない。
心の中で謝っておこう、ゴメン、今度はカタカナだよ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
なんだかいつもより視線率が高いなぁ。
特に教壇の近くに陣取ってる女子グループ。
何度も何度もチラチラ僕らを見てくる。
それが好意的ではないのは明らかだが、もうちょっと食事に集中しなさいと言いたくなる。そんなに見るなよ、照れないけどさ。
目つきが悪くなるぜ。
この教室の空気を悪くしている原因が言うのもあれだけど。
それを分かってて此処にいるんだからどうしようもないのだが。
どうでもいいしね。
さて。
「紅葉。」
「何?。」
憮然とした表情で反応する紅葉。
それに対して僕は極限の優しさを込めて言う。
「魚の骨、取ってあげようか?。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「まかせとけ。」
僕は紅葉の弁当箱を自分方へと持ってくる。
「8秒以内にやりなさい。」
わぁー、短くなってる。
がんばろう。
そうして僕らはいつも通り、いつものように昼食を終えるのであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・。
結果を言うなら部分的に刺さったと言っておこう。







<6章=よびだし>


「最近は物騒だから夜はあまり遅くまで外出しなように。補導されてもたいへんだからな。じゃあ今日はこれで終わりだ。」
先生の言葉と共に、生徒全体で適当に礼して今日の学校が終わった。
別に感慨も何も沸かないけど、変わり映え無かったなぁとか思ったり。
どうでもいいっしょ。
「よっこいせ。」
僕は自分の鞄を持ち上げる。
そして、すぐに教室のドアの方へと向かおうとしたところで美島に捕まった。
「なんですか?。」
ちなみに首根っこを掴まれている。
こう、猫を持つみたいに。
結構痛いよ美島さん。
「まあ待ちなよこうくん。」
「それじゃあ離しておくれよ美島さん。」
「嫌じゃい。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
えー。
何となくそうかなと思ったけど、やっぱり断られたか。
しかもさっきより強く握られてるよ、痛いって。
「駄目だよ菜月ちゃん。こうくんが痛がってるよ。」
救援が登場した。
後光が出てるよ木沢さん。
「握るならもうちょっと優しく握らないと。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「え?、何で2人とも黙るの?。」
何だか僕らの沈黙に焦っている木沢さん。
僕らの沈黙の意味が分かっていないようだ。
「梨沙。」
「なあに?。」
「もう1回さっきのセリフ言って。」
美島がセクハラもどきを敢行しようとしていた。
「え?。」
「ほら、さっきの。」
「え、えっと、こうくんが痛がってる、よ・・・。」
「違う。もうちょっと後。」
「えっと・・・・・・・に、握るならもうちょっと優しく握らないと、かな。」
うむ。
なかなか卑猥だなぁ、特に木沢が言うと。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「な、なんで2人共黙るの?。」
「なんでもないよ。」
「うん、なんでもないよ梨沙。」
美島はそう言うと、僕の首をようやく離した。
一瞬絞め返してやろうかと思ったけど、思っただけで止めておいた。
冗談だしね。
「で、美島はなんで僕の事を引き留めたの?。」
「別に。何かすごい勢いで帰ろうとしてたから何となく。」
「何となくで首を絞めるな。」
「そこは愛嬌で。」
「そんな愛嬌捨てちまえ。」
「えへー。」
「笑っても駄目。」
「コミュニケーションの一環だ。」
「自分の首でも絞めていてください。」
「私はSだ。」
「それで?。」
「こうくん絶対Mだろう。」
「なんで?。」
「違うのか?。」
「いや・・・・・・・分かんない。」
「分からないならMだ。」
「それはなんか嫌だ。」
確かに受け身だけど、別にそれが好きだってわけでもないし。
何より、どうでもいいからね。
「とりあえず僕はもう行くからね。」
「こうくん。なんでそんなに急いでるの?。」
木沢は鞄を両手で膝の前で持って聞いてくる。
僕的には、目の前で繰り広げられたあの会話を軽くスルーするその精神が気になるところでもないが。