【未】少女はヒロインになりたかった【過去作】
┗蛙なぜ鳴く
ヒナの死骸を見つけた場所から少し離れた所に、ヒナを埋めた。
青年の手にはやはり血がべっとりついていて、真知は鞄の中からタオルを出して青年に渡した。
「すみません。洗って返しますんで」
「いいよ。クラスわからないだろうし」
「知ってます」
さっさと歩き出した足を止めて振り返ると、青年はやっぱり微笑んでいた。
「先生が言ってました。裏生徒会長は3年C組だ、って」
「……その呼び方」
先生?
どの先生だ?
「クラスの女子も。木更津先輩は凄い怖い、って。でも先輩、優しいんですね」
優しい?
誰が?
ダレが?
「私は優しいわけじゃない」
私は私の自己満足の為に、動く。
青年を見ぬように。あの真っ直ぐな瞳を見ぬように。
真知は今度は振り返らずに帰路についた。
作品名:【未】少女はヒロインになりたかった【過去作】 作家名:木白