ツインテール探偵くるみの事件簿
漫画同好会の鍵の開いた窓から土足のまま入る。机の原稿を取り、本棚にあるファイルを抱えるだけ抱えて外に運んだ。
「この時、わたしたちはあかずの部屋にいたと思う」
外に出てファイルを安全な場所に置き、バケツに水を入れる。だけどちょろちょろしか出ない。その間に俺たちは望月さんの部屋に移動。
「トラップの音は聞こえてなかったんですか?」
「聞こえたでしょうね。でもそれ以上に大変なことが起きていたの」
「なんですか?」
「風よ」
強風で原稿が飛んでしまったのだ。ボヤもほっとくわけにもいかず、ほとんど水が入ってないバケツを運び、墨汁も使って鎮火。
「桃果が廊下にいたのに気付かなかったの?」
くるみが指摘した。
「ドアに隠れて見えなかったんでしょ」
開いていたのは苦手な望月さんの部室だ。窓を割ったという負い目もある。なにより回収作業を優先させなければいけない。
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん