ツインテール探偵くるみの事件簿
「それって誰?」
あいつしかいないだろ。
「もうすぐ戻って来るんじゃない?」
漫画の原稿を抱えた美咲が現われた。全身汗だくだ。
ガラスが外に出ていたのは、
「怖かったから」
くるみと同じだ。
カーテンにのったガラスの破片を外に出して窓を閉めたのだ。実際、美咲は不幸の魔法に掛かっていたようだ。道路まで飛んだ原稿を車を避けながら拾ったり、不信そうに見られながら懸命に取り戻していたらしい。
ボヤの原因はペットボトルと黒くなった半紙だ。日差しの強い日に黒い紙を置いておくとペットボトルがレンズとなって火がつく、とは限らない。だがくるみという要素が加わって確立がぐんと上がったのだ。ボヤに関してはこっぴどく怒られた。どうやら俺たちも不幸の魔法に掛かっていたようだ。
こうして『化学的盗難事件』の幕は降りたのだった。
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん