ツインテール探偵くるみの事件簿
くるみの推理はこうだ。
水を掛けて割るつもりが、ヒビが入っただけだった。そこで別のものを用意して割れる音に仕立てた。
「ビーカーよ。わたしたちが聞いたのは化学部のビーカーが割れた音」
この部屋にガラス製品が多いのは確かだ。
「犯人の目的は窓を割ることではなく漫画を盗むことなの」
だから注意を引く音ならなんでもよかったらしい。
「でも窓は割れていたぞ」
「私たちが開けたときに割れたの」
「どういうことだ?」
「振動よ」
望月さんが仕掛けたトラップの机だ。
「ヒビの入った窓ガラスに振動を与え、触れれば割れる状態にまでなった。そして最後のひと押し、それが風。強風でカーテンが窓に当たりガラスが崩れていったの。ガラスが外にあった理由が説明つくでしょ」
「割れる音なんか聞こえなかったぞ」
「すべては一瞬のうちに行われたの。机がぶつかる音に消えてしまった」
本当か?
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん