ツインテール探偵くるみの事件簿
漫画同好会に戻ると、本棚の紙ファイルがいくつか消えていた。机で描いていた原稿もなくなっている。窓を開けて土足で侵入したらしく、床の上には足跡がついていた。
「私たちが移動したのを見計らって侵入したのよ」
栞さんがくやしそうに言った。
「ワトちゃん、絶対犯人を捕まえるよ」
望月さんの部室を二人で捜索した。ドアから窓へ向かって強い風が吹いて、カーテンがなびいていた。
「トラップの机は窓際にあったみたいだな」
ドアを開けるとキャスターを止めていたストッパーが外れ、坂道を走る仕掛けになっていた。カーテンの外側には文字が書かれていた。色は赤で全く読めない文字だ。
「これが不幸になる魔法か。開けたやつは今ごろ不幸になってるんだろうな」
くるみがさりげなく窓を閉めていた。
「ひょっとして信じてるのか?」
「ち、違うわよ。風が強いからよ」
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん