ツインテール探偵くるみの事件簿
帰りにプールの近くにあるハンバーガショップに入った。
「はい、あーん」
栞さんがポテトを俺の口に運んだ。
「うれしい?」
「全然」
セクハラマジックハンドじゃ嬉しくはない。
正面のくるみがストローをくわえて俺をにらんでいる。
「なんだよ、疑惑は晴れただろ」
「べつに」
なんなんだこいつは。
隣で望月さんがカメラ付きのパソコンを操作していた。
「なにしてるんですか?」
「人が集まる所は漂ってることが多いから」
怒鳴り合う声が聞こえた。店に入って来たカップルだ。
「だったらそのネックレスはなによ」
「ただのお守りだ」
「嘘つき、他の女からのプレゼントでしょ」
「やあねえ、ケンカ?」
栞さんが顔を近づけて囁いた。
突然、望月さんが立ち上がって、カップルの前に進み出た。意外な行動と思っていたら、塩を撒いたので意外な行動ではなくなった。
「肩とか重くない?」
「な、なんで、そのことを」
男の顔が引きつった。
「それ、偽物だから効き目ない」
ネックレスを指さしポツリと言った。
うるさかったカップルが静かになったのでとりあえずよかった。
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん