ツインテール探偵くるみの事件簿
「楽しそうね」
バスタオルを体に巻いた栞さんが風呂場から出て来た。
「ちょっと、栞ちゃん」
くるみが俺の顔面をクッションで押さえつけた。
「あ、いつもの癖で」
ペロッと舌を出して風呂場に戻ってしまった。
「なんで俺だけ」
「二人を見なさいよ。紳士じゃない」
倉田先輩と能登は背中を見せてブツブツ呟いている。近付いてみると、
「カレーと石鹸の匂いがします」
「風呂場でカレーを食ってる姿を妄想するんだ」
こいつらは。
「おいしいわよ」
栞さんがカレーを食べながら言った。
「俺にも食わせろ」
「ワトちゃんは文句言ったから残り物だけ」
くるみは自分のカレーからニンジンやジャガイモを別の皿に移していた。
「ちゃんと食べないと駄目よ」
「野菜は苦手なの」
自分で作ったんだろ。
「俺が食ってやるよ」
くるみの野菜は倉田先輩の皿へと移った。俺は残りカスを集めて食べるしかなかった。
作品名:ツインテール探偵くるみの事件簿 作家名:へぼろん